みなさん、こんにちは!
今回は教育関連とはまた少し違った視点…
子どもの歯育てというお話をしていきたいと思います。
「歯並びは遺伝する」
なんて話を耳にしたことがある方もいるかもしれません。
私もその話を聞いて、そういうものなのだと信じ込んでいました。
そして私自身、歯並びの悪さに苦労したひとりでもあります。
だからこそ、我が子には同じ思いをして欲しくない。
そんな強い気持ちを持つひとりの母として手に取ったのが
『「一生使える歯」は3歳までのお口の育て方で決まる』という本でした。
歯並びという一つの問題例でいくと、実は遺伝だけが原因ではないというのです。3歳までのお口の育て方によって、歯並びの悪さを防げるかもしれないと思ったら、気になりませんか?
もちろんこの本の中には他にも、虫歯に関することや、まだ歯が生えていない0歳からできる予防策などが掲載されています。
以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。
かなり内容の濃い一冊ですので、記事を2つに分けてご紹介していきます。
その1ではお口の危険サインを始め、哺乳期や離乳食スタート時に気をつけた方が良いことを紹介しています。
また、その2では歯が生えてきたタイミングから気をつけたほうがよいこと、その他日常生活で気をつけた方がいいことを紹介しているので、ぜひ続きもご覧ください。
目次
お口の危険サインを要チェック
注目すべきポイントは6つ。
すでにお子さんの歯が生えている方は今から気にしてみても遅くはありません。また、まだ歯が生えていないお子さんの場合はこれからのために頭に入れておくことをおすすめします。
1.歯と歯の間が隙間なくぴっちりしていませんか?
乳歯が生えそろい、永久歯が生えてくるまでの間のことを「乳歯列期」と言い、この時期に「発育空隙(はついくくうげき)」という隙間がつくられる必要があります。
つまり、永久歯が生えてくるまでの間は「すきっ歯」の状態であることが望ましいということを意味しています。
なぜならば、乳歯がぴっちりした状態のまま、乳歯よりも大きい永久歯に生え変わると、永久歯が入るスペースが足りず、歯並びがデコボコになってしまうからです。
この時期に隙間ができないといけないことを知らず、5歳になっても乳歯がぴっちり詰まっているお子さんを「歯並びが綺麗」と勘違いされている方も多くいるのではないでしょうか。しかし、それは将来の歯並びに大きく影響している要注意ポイントのひとつだったのです。
2.上下の歯の中心は一致していますか?
上の歯と下の歯を咬み合わせた状態で、子どもの口を「イー」と開かせてみた時に、上下の歯の中心がずれている場合は、上顎または下顎が左右どちらかにズレている可能性があります。
このまま成長してしまうと、将来「顎関節症」を引き起こす恐れがあるだけではなく、顔全体に「歪み」が生じてしまうことも…。
3.上の歯が下の歯に覆い被さり過ぎていませんか?
2.の時と同様にお子さんに「イー」というお口をしてもらいましょう。そのとき、上の歯が下の歯の前にかぶさって、下の歯がほとんど見えない状態になっている場合があります。
この状態のままだと、上の歯茎が伸び過ぎて笑った時に上の歯茎が多く見える「ガミースマイル」という状態になってしまいます。
さらに、下顎が前方へ成長しにくくなり、下顎が後ろに下がった顔になることも。
4.上の前歯が前に出てしまっていませんか?
いわゆる「出っ歯」を意味します。
この状態だと、前歯で食べ物を噛み切ることができないという問題が出てきてしまうのです。また、口を閉じることができず、前歯の一部が常に見えている状態になり、口呼吸のクセもつきやすくなってしまいます。
5.上の前歯と下の前歯の間が開いていませんか?
上下の前歯の間に隙間があり、咬み合っていない状態になってはいませんか?
離乳食が始まった後でも、長い間哺乳を続けていると常に歯と歯の間に何かものが挟まっている状態が続いてしまうということに。それは、隙間が開いてしまう原因につながります。
また、長い期間続く「指しゃぶり」もこれの原因となってしまう事もあります。(おしゃぶりも同様です)
6.下の前歯が上の前歯よりも前に出ていませんか?
下顎が前に出ている状態のことを指します。
これは習慣性によるものと、遺伝的要因によるものとが考えられますが、この状態になると前歯でうまく食べ物を噛み切る事が難しくなります。さらには、次第に顔の作りにも大きく影響を及ぼしてしまうことも。
以上が6つのポイントです。
日頃から子どもをよく観察し、危険サインを見つけようとする意識を持つことが大事になってきますね。
現代の生活習慣も見直してみてほしい
また、現代の子どもたちの生活習慣にも注目してみてほしいのです。
柔らかいものが中心の食生活になっていませんか?
そのままだと、咀嚼力(食べ物を噛む力)や嚥下力(食べ物を飲み込む力)が低下。これらを低下させることにより、上顎と下顎の横幅が左右に広がりにくくなるため、歯が生えてくる場所が足りなくなってしまい、歯並びの悪さに影響が出てきます。
さらに、家の中でゲームばかりしていたり、スマートフォンをいじってばかりいるお子さんも現代では当たり前となってきているかと思います。ゲームやスマホいじりを続けているとジーッと「下を向く時間」が増え、家では寝転がりながら「横を向く時間」が増えていってしまいます。こうした姿勢の悪さが、上記で紹介した事例を引き起こす原因になっているのです。
では、これらの状態をそのままにして、特別何もしてこないと将来どんな事が起こり得るのでしょうか?
・発音の異常
正しい発音に必要な口唇や下の機能がうまく育たず、発音がはっきりしないことも。
・肩こり、頭痛
顔や首、肩や背中の筋肉のバランスが悪くなり、肩こり・頭痛が起こる原因に。
・顎関節症
最悪の場合、口を開けることができなくなる場合も。
・咀嚼障害
食べ物を十分に噛み砕く事ができないと、消化不良に繋がります。それにより、胃や腸に大きな負担がかかり、さらには栄養の吸収が不十分になってしまうという恐れもあります。
・顔つきへの悪影響
顎や顔全体の発達に影響が出てきてしまい、笑った時などに口元に歪みが生じることも。
・脳の発育にも影響
脳の神経の半分は、口の周りの神経と直接繋がっています。口を動かせば動かすほど、脳の血流が増え、前頭前野も刺激され、脳の神経活動が活発になります。
・コンプレックス
思い切り歯を出して笑えない人も。
このように、そのままの状態を放っておくとたくさんの悪影響が将来待ち受けていることになります。健康面だけではなく、脳の発育にまでも影響があると聞くと、早いうちからしっかりと状態を常に察知できるようにしておきたいところですね。
また、ある程度の大人になってから歯列矯正などの治療で治すことも可能ではありますが、0〜5歳の乳歯列期のうちに、良くない習慣を取り除き、良い歯並びや咬み合わせを作り上げることによって、将来にかかる治療費を節約する事ができるのです。
理想のお口を作る習慣が将来を左右する
最も重要なのはこの本のタイトルにもある通り「0歳から3歳までの期間」が、理想の口内環境を作っていく上で大切であるということです。
とは言え、悪い習慣を頑張って取り除いてきたのに歯並びがあまり良くならなかった!ということも、もちろん生じます。
それは、遺伝的要素が大きい骨格性が要因であり、これは矯正歯科へ行っての診断が必要となる可能性が高いです。しかし、そこに悪い習慣が重なっていれば、症状はより顕著に出ていることでしょう…。
逆に良い習慣を身につけていれば最小限の症状で済むことになるので、「どうせ遺伝的に無理だから…」と諦めるのではく、ひとつひとつ行動していってほしいと思います。
もちろん、悪い習慣を取り除き、良い習慣だけを取り入れようと理想を追い求め過ぎて親御さんが疲弊してしまうのは本末転倒。
それぞれの状況で全て理想通りには行かなくて当たり前なのです。「これなら我が家でも取り入れられそうだ」というものから、一つでも試してみることからチャレンジしてみるのはいかがでしょうか?
哺乳期に気をつけたいこと
まだ「歯」がないこの時期からもうすでに気にかけてほしいことがあるのです!
哺乳期で大切にしてほしいテーマは2つあります。
1つは、口の周りの頬にバランスよく筋肉をつけ、「くちびる」のバランスを育ててあげること。そしてもう1つは、正しい飲み込み方を覚えさせて、舌の機能をきちんと育ててあげる「正しい嚥下」を育ててあげること。
赤ちゃんが母乳やミルクを飲むという動きは、生まれてすぐに行う、いわゆる「運動」です。栄養を摂るのと同時に、口の周りの筋肉を鍛えて、くちびるの形状を作っているところなのです。さらにこれと同時に頬の筋肉も鍛え、顔の形も整えている大事な時期。
このときに大事なポイントは、左右均等に鍛えること。
そのために心がけてほしいことはミルクを与える時の赤ちゃんの頭の向きです。
なるべく赤ちゃんが「正面を向いて吸い付ける」ようにしてあげることを意識してみてください。「首がすわっていない時期は難しい!」と思われる方もいると思いますが、なるべく頭を支えながら、赤ちゃんの頭が正面に近い角度で吸い付けるようにしてあげてほしいと思います。
また、「嚥下」を育てるためには「縦抱っこ」にしてまっすぐの姿勢で飲み込むことを覚えさせてほしいのです。
大人でも寝転んだ状態で飲み物を飲むというのは、なかなか難しいですよね。それは赤ちゃんも同じ。
哺乳期は「舌の前後運動」によって嚥下を行いますが、体が横向きだと飲み込む時に、間違った舌の動かし方が身についてしまう危険性があります。舌の動きは、顎の形の成長に大きく影響します。
ここまで読んだ方はもう大分分かってきたと思いますが、この時期に目指すべきところは「顎が順調に左右均等に大きく広がっていくこと」…これですね!
離乳食が始まったら意識するべきこと
生後6ヶ月頃から下の歯が生え始め、離乳食スタートさせるご家庭も多いことでしょう。離乳食がいよいよスタートしてからは少しずつ「噛んで食べる」ことを覚えさせてあげてください。
この時期は、哺乳期に上向きだったくちびるが下に降りてきて水平ラインが作られ、前歯が正しい位置に整う大切な時期です。
離乳食をあげる時の「食べさせ方」も重要ポイント。
離乳食をスプーンにのせて、お口に近づける時に、スプーンは必ず「水平」の状態にしてください。そして、赤ちゃんの正面からまっすぐお口に運んでください。ここでさらに大事になってくるのは、赤ちゃんが自分から食べ物をくちびるでつかんでくるのを待ってあげること。これは、水平なくちびるが作られるための大切な動作になります。
親御さんが子どもと横並びで座り、子どもの横から食べさせている…なんて光景はよく見かけます。こうなると、子どもは顔を横や斜めにひねった状態で食べ物を受け取ることになってしまうため、くちびるが左右均等に動かず、形がだんだん歪んできてしまう恐れがあるので要注意です。
そもそも、どうしてくちびるの形を整えないといけないのでしょうか。
例えば、上くちびるがめくれ上がっている状態だと、いわゆる「出っ歯」の状態になりやすい。なぜなら、上の前歯は上くちびるに誘導され、正しい位置に生えていくからです。だからこそ、くちびるの形を整えるのは重要事項。
さらに、食べ物をあげるタイミングも一つ要注意。
赤ちゃんがお口に含んだ食べ物がしっかりと口の中からなくなったことを確認してから、次のひと口をあげるようにしてください。「次のひと口が来る!」と思うと、赤ちゃんは慌てて飲み込もうとします。そうなると、正しい咀嚼と嚥下が身につかず、顎を十分に発達させることができなくなってしまうので、ここも気をつけたいポイントのひとつです。
まとめ
以上が、『「一生使える歯」は3歳までのお口の育て方で決まる』の前半をまとめてみたものです。今回ご紹介した内容は科学的根拠に基づいたものではありませんが、一つの考え方として子育ての参考になればと思います。
その2では、歯が生えてきたタイミングから気をつけたほうがよいこと、その他日常生活で気をつけた方がいいことを紹介しているので、ぜひ続きもご覧ください。
0歳からの対策は決して無駄なことではないと思います。
歯並びが悪くなったらなったで、将来的に矯正をすればいいという考えをお持ちの方もいらっしゃると思います。しかし、歯並びや咬み合わせが悪くなる原因を把握せず、形だけ治しても、根本的に改善されていなければ、年月が経つうちにまた崩れていきます。
0歳からこうしたことを意識していると、虫歯や歯周病にもなりにくくなるとも言われています。どうぞ、この記事を読んだきっかけで、意識してお子さんの歯を今一度チェックしてみてくださいね。
今後、NOCCではほかの書籍などもご紹介してくので、いろんな角度からご参考いただければと思います。
書籍紹介
書籍名 | 「一生使える歯」は3歳までのお口の育て方で決まる |
著者 | 竹内敬輔 医療法人きらめき理事長。これまで19年の矯正治療経験でインビザライン1000症例を含む4000症例(2019年12月現在)を手掛けつつ、2017年、2018年、2019年の3年連続でダイヤモンドステータスを保有し、国内外にて講演活動を行っている。 |
発行日 | 2020年9月10日 |
発行所 | 株式会社PHP研究所 |
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