勉強ができて人に好かれて心の強い子に育てるには?(その2)

みなさんこんにちは。
前回は、世界標準となるハイブリッド型の子育ての基本条件とその実践方法について紹介しました。

今回その2では、世界各国の子育てや教育事例を比較し、日本の多くの親がやっているけれど実は子どもに悪影響なやってはいけない7つのこと」を紹介します。子育て中の私もドキっとした「いけないこと」が書かれてあり、この本を読んで良かったと思える内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。

以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。

世界標準の子育て

1、世界各国の子育て・教育事例

  1. スウェーデン

    北欧は「子育てしやすい国」の常連。学力ランキングもトップレベル。その理由は手厚い政府の子育て支援ではなく「父親の育児参加」にあります。夫婦共働きが当たり前な為、男性が家事・育児に参加するのも当たり前なのです。実際、男性の育児休暇取得率は80%で(日本は2%)、父親が家庭に割く時間が増えることで「母親のストレス軽減」につながり、母子関係良好・夫婦円満の環境が整いやすいのです。この母親の心の余裕こそが「子どもの精神的安定」につながり、 幼少期に大切な人格の土台形成を促すのです。           

    北欧の家庭のように母親がいつもストレスフリーでニコニコしていたら、子どもの心が満たされ自由に伸び伸び成長できますよね。そのためには、家庭での家事・子育ての役割分担が必要そうです。

  2. アメリカ

    アメリカではよく子どもを褒めます。しかし、それは日本のような「しつけ」のためではなく、「自立心を育てるために褒めるのです。大げさにいうならば、アメリカでは「自分の意思で行動できた→自立を促す」へつながるのに対して、日本では「言う事が聞けた→従順を促す」となっているのです。アメリカでは、「自分でできた!」という小さな成長を見逃さず「自分でできたね!」「すごいね!」と大げさに褒める事で、子どもの自信を育てます。           

    確かに日本人は「我慢できて偉いね」や「これやってくれたらこうしてあげる」などの取引条件により、子どもを褒める事が多いように感じます。子どもの「自分でできた」という小さな成長を大袈裟に褒めるようにすると、自己肯定感自発的な学習意欲につながり、結果子どもの自信や成長を促すようになるでしょう。

  3. 韓国

    韓国にはびこる「学歴信仰の重圧」が「世界一子どもの教育に関心が高い国」へと急き立てています。そのため、ハーバード大学進学率がアジアNo.1になるも、実はドロップアウト率No.1でもあるのが韓国なのです。   

    なぜかというと、物心ついた時から周りとの競争の中にいて、脇目もふらず勉強に青春を捧げてきたにも関わらず、大学に入学した途端世界中のエリートと出会い、初めて挫折を経験するからです。この自信喪失が忍耐力や再起力を超えて精神的にのしかかり、結果ドロップアウトしてしまうのです。     
    日本も韓国ほどではないですが、今でも「学歴社会」です。重圧に耐える忍耐力自分を見失わない自信を養うには、幼少期から勉強よりも心を育てることに注力していかなければなりません。そのためには、たくさんの失敗や挫折を経験しても大丈夫だというたっぷりの愛情で包んであげる事が大事です。

  4. 中国

    中国では「子育ては祖父母の仕事」で、教育費も分担してくれる場合がほとんどです。日常の家事や子供の世話は祖父母に任せ、祖父母が子どもを見てくれている間に両親は働き、生活費を稼ぐ。両親は週末だけ子育てに参加するのが、中国の典型的な子育てスタイルなのです。     

    このため、祖父母は孫に嫌われまいと甘やかし、親はたった一人の子どもの学力や成長を心配するあまり、過度な期待やプレッシャーをかけることとなります。「甘やかし」はさほど悪い事ではありませんが、所得格差が大きい中国では「早期英才教育ブーム」が起こり、親や社会の重圧に耐えながら良い大学へ進学することだけを見据えて猛勉強する(させられる)子どもが増えています。     
    中国の子どもたちは過保護に育てられているため、自己肯定感が強く、チャレンジ精神が旺盛であるという良い面もありますが、一方で重い学業負担と親からの期待やプレッシャーにより精神的なストレスを抱える問題もあります。精神面で特に両バランスが大事なのが分かりますね。

  5. インド

    インドといえば特有の算数教育です。暗算は19×19など大きな数字まで覚えていて数字遊びを家庭や学校で指導されます。日本では教科書の公式通りに計算する事が要求されますが、インドでは様々な計算方法やトリックを自在に組み合わせて、合理的かつ簡単に答えを導き出す工夫が重視されます。     
    インド人は幼い頃から暗算を教え込まれるイメージがあるかもしれませんが、実はいかに工夫して暗算するかという「思考習慣」を身に付けるよう指導されているのです。この「考える力」が理数系頭脳を支え、シリコンバレーに何人もの優秀な人材を輩出している思考力のベースとなっているのです。

偏差値主義が残る国とそうでない国の特徴的な子育て・教育事情についてまとめると、その学力を養う前に精神面やソフトスキル(社会性やコミュニケーション力、思考力など)に注力し育てていこうとしている家庭・社会は学力も比例して高いという結果が出ています。(例えば、2020年にユニセフが出した、先進国及び新興国38カ国を対象とした「子どもの幸福度」ランキングによると、スウェーデンは総合10位で日本は20位。)

私は、学力とソフトスキルは切っても切れない関係にあることを、国や社会が理解し教育改革していかないと、ますます学力格差や所得格差は広がるばかりなのではないかと思いました。

2、実は子どもに悪影響な「やってはいけない7つのこと」

世界の子育て事情を知ったところで、それでは日本の子育てにおいて「具体的にどこを直せば良いのか」「どんなところを参考にすれば良いのか」を日本でやりがちな子育てあるあるから紐解いていきましょう。

  1. 「人に迷惑をかけるな」で自尊心の低い子になってしまう

    日本人は謙虚であると同時に自尊感情が低いと言われますが、子育てしていて周りの目を気にしすぎている、ということはありませんか? 

    集団における調和を大切にする日本人は、世界から見ると「人の目を気にしすぎる」のです。「触っちゃだめ!」「走っちゃだめ!」と周囲に気を配るばかり、子どもにじっと座っていることを強制したり、行動を制限しすぎてはいませんか?    
    親の仕事は「他人に迷惑をかけない」ではなく「子供の自尊感情を守る」ことです。頭ごなしに否定するのではなく、きちんと言葉で説明した上でいけないと優しく伝えます。最初から「そんなの言っても子どもは聞かない」と決めつけてはいませんか?物を壊したり、怪我をすれば子供だって辛いはずです。

    走り回る子どもにはまず、「元気に走るあなたが好きよ」とありのままの子どもを受け入れ、その後に「でもここは走っていたら人にぶつかってしまうかもしれない、転んで怪我をしてしまうかもしれない」と丁寧な言葉で教えると良いでしょう。

  2. シャイな子、臆病な子に共通する愛情の実感不足

    日本人の子どもに多いのが「シャイ=恥ずかしがり屋」な性格です。著者のところに「うちの子はシャイだから挨拶ができない」などの相談がよく来るそうです。 

    結論から言えば、臆病な子、人見知りが激しい子、母子分離ができない子に共通するのは、親から愛され、受け入れられているという「実感不足」です。愛されているという実感が足りないと、子どもは環境の変化を過剰に怖がるようになります。    
    人間は生まれながらに「愛されたい欲求」を持っていて、親から愛され受け入れられていると「実感」したいのです。抱っこをせがむのは愛情を確認するためです。愛されている確信がある子どもは、親から離れ、知らない場所に行っても、見知らぬ人と会っても堂々と振る舞えます。

    大切なのは「愛情を実感させること」です。いつもよりスキンシップを増やしたり、「愛しているよ」と言葉で伝えたりしましょう。子どもによって愛情のタンクは違いますから、そのタンクを満タンにしてあげるようにしましょう。

  3. 命令・否定言葉を連発しているとキレやすい子になってしまう

    親のイライラは子どもに伝染し、親の発する言葉は子どもの心の発達に大きな影響を与えます。しかし大人だってイライラすることもありますよね。 

    そんな時に「だめ!」と言われると、子どもは「自分の存在を否定された」と感じてしまうのです。しつけ目的で子どもの行動を制限しなければならない時は、「なぜだめなのか」を優しく丁寧に説明してあげましょう。相手が3歳児だろうが、きちんと言葉で説明する事が大切です。

  4. 「早くしなさい!」せきたて言葉でプレッシャーに弱い子になってしまう

    何事にもスピードが要求される効率主義社会。子育てにも影響してきて必要以上にせきたてる親が多くなりました。その結果、子どもはプレッシャーで焦って失敗してしまいます。そして「次はうまくやらなきゃ」というプレッシャーがまた失敗を引き起こすという悪循環を起こしてしまうのです。こうした失敗体験の積み重ねは消極的な態度、自信喪失へと導かれてしまいます。

    焦りの子育ては必ず失敗
    します。反対に、親が寛容な態度でいると、子どもは気楽になり、それまでできなかったことが嘘のように上手くできるようになります。自信回復には小さな成功体験の積み重ねが必要です。

  5. 「兄弟姉妹は平等に」で家庭内の問題が増える

    兄弟姉妹平等にではなく、上の子を中心に育ててあげてください。「お兄ちゃん、お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」は絶対NGです。というのも、上の子は生まれた時から親の愛情を100%独り占めしてきたのに、下の子ができた途端、「下の子ができたので、これからは愛情を50%ずつに分けます」と言われても納得できるものではありません。(親はそんな言い方しないでしょうが、子どもはそう感じるのです。) 

    上の子の下の子への強いジェラシーによって愛情の自信がグラグラと揺らぎ始めます。それが赤ちゃん返り駄々をこねることに繋がります。そうさせない為には、上の子と二人きりで過ごし愛情をたっぷり注ぐ時間を作る事が大切です。下の子は「親の愛情は100%独り占めできないもの、兄弟姉妹で分け合うもの」という前提で生まれてくるため、安心して上の子に愛情をたっぷり注ぎましょう

  6. 「学校まかせ」では、子どもは勉強嫌いになってしまう

    勉強ができる子にするには、家庭で育てるべき基本的な資質があるのです。勉強ができる子は知的な才能に秀でているのではなく、忍耐力や自制心など「良い学習態度」がある子なのです。粘り強く努力を継続する力、集中して物事に取り組める力、人の話をよく聞く力、失敗を恐れないチャレンジ精神といったものです。この「学習態度」を育てるのは学校ではなくです。

    授業を100%吸収できるようになるのは、これらの学習態度が備わっているから
    。そうすれば有名な学習塾に入っていなくても学校の授業だけでも十分に学力が備わるのです。
    具体的に小学校に上がる前までに、本を読み聞かせする、プリント学習に取り組ませる、時事問題を話し合う、新聞記事を読みあうなど、子どもと密にコミュニケーションを取りながら学習習慣を確立する事が大切です。

  7. パートナーの「悪口」を聞かせると、友だちができない子に育つ

    大人同士ならまだしも、子どもの前で身内の悪口をいうのは極めて悪い習慣です。身内の悪口を聞かされて育った子どもは周囲をバカにするようになります。悪口が出そうになったら、ゆっくりと5回深呼吸してみましょう。
    悪口のつもりではなくとも、多くの日本人がやりがちなのが必要以上の謙遜です。子どもを褒められた時、子どもの前で「そんな事ない」と否定していませんか?親の心ない言葉で子どもの自信を揺らいでしまう事例はよくみられます。パートナーのこと、子どものこと、身内のことを必要以上に低く扱うのはやめましょう。

まとめ

以上が、「世界標準の子育て」をまとめてみたものです。

この本を読んで私は、子どもの総合力は幼少期の心の土台をいかに養うかにかかっていると思いました。特に情緒や性格の方向性が決まる6歳頃までにたっぷりの愛情を注がれた子は、集中力・忍耐力・コミュニケーション力において優れた力を発揮できると確信しました。

総じてまとめると、子どもの小さな成功体験を見逃さず大げさに褒めてあげ、親は家事・育児を分担しストレスを溜めないことが、子どもにとって一番良いのではないかと考えました。子育てにおいて大切なのは、親の理解だと私は思います。子どものちょっとした変化に気付いたり、何を必要としているかを敏感に察知したりと、日頃から子どもをよく観察して見守ることで、子どもも伸び伸びと安心して過ごせるのではないかと思います。そうすることで、自信自己肯定感が養われるのではないかと思いました。

今回ご紹介した教育法は科学的根拠に基づいたものではありませんが、一つの考え方として子育ての参考になればと思います。忙しい育児の中で読む時間が取れなかったり、じっくり本の世界に浸れなかったりしますよね?そんな時にこのまとめがお役に立ったら嬉しいです。

今後、NOCCでは他の書籍もご紹介していくので、引き続きご参考いただければと思います。
まとめや要約を知りたい書籍がございましたら、ぜひお気軽にコメントください。

書籍情報

書籍名 世界標準の子育て
著者 船津 徹

1966年福岡県生まれ。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威である七田眞氏に師事、英語教材の制作などを行う。その後独立し、米ハワイ州に移住。英語力、コミュニケーション力、論理思考力などを伸ばす独自の教育プログラムを考案し、2001年ホノルルにTLC for Kidsを設立。校長として教鞭をとりながら、2017年までに延べ4000名以上の子どもの教育に携わる。卒業生の多くはハーバード大学、イェール大学、ブラウン大学、ペンシルバニア大学ウォートン・スクールを始めとした世界各国の最難関大学へ進学し、グローバルに活躍。その実績が評判を呼び、現在ではハワイに住む経営者、スポーツ選手、アーティスト、芸能人などの子どもが順番待ちとなる人気を博している。2015年にカリフォルニア州トーランス校、2017年に中国上海校を設立。また、独自開発した教材は全米25万名の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位を獲得した。
プライベートでは米ドラマ「LOST」の出演俳優であるダニエル・キム氏、イアン・キュージック氏らとバンドを結成するなど、音楽や演劇を通して各国の一流人と交流を重ねている。

発行所 ダイヤモンド社
発行日 2017年07月05日

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