みなさんこんにちは。
「花まる学習会」はご存知でしょうか?(参考:https://www.hanamarugroup.jp/hanamaru/)
この学習塾の代表を務める高濱正伸先生は、多数の生徒の進学をサポートし、サマースクールや講演会を行う、教育のスペシャリストです。また数多くのメディアにも出演し、多数の著書も出版しています。
今回は、その高濱先生の著書の中でも、私が特に良いなと思った一冊を2回に分けてご紹介します。まず本の裏表紙にはこんな文句が書かれています。
「本当に頭がいい人」とは、他人を幸せにできる人のことです。
とても素敵な言葉ですよね!?
「本当に頭がいい人」になるには「7つの力」が必要であると著者は考えているそうです。
その7つの力とは一体なんなのでしょうか!?
その1では「7つの力」の前半「3つの力」を、その2では後半「4つの力」をご紹介します。
以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。
目次
本当に頭がいい子の育て方
1、魅力(人が集まってくる人間としての器)
著者は、その魅力は以下「8つの体験」を通して身に付くと解説しています。
- 愛された体験…「お母さんに愛されている」という自信こそが子どもの生きる土台なのです。お母さんだけでなく、誰かから惜しみない愛情を受け取る体験をした子どもは自己肯定感が強く、生きる力になります。それは、過保護や失敗の先回りをすることではありません。「あなたはあなたのままでいい」と認め、受け止める親の愛情なのです。
『「親に愛されていると感じた総量」が、子どもの心に自信を灯す(p.62)』という著者の言葉は重みがあると私は感じました。長年多くの生徒と関わってきた著者だからこそ実感する言葉なのではないでしょうか。とくに、子どもの人格を全否定するような「あなたはダメな子だから!」というような言葉は、絶対に言ってはいけません。これは「絶対に言わない」と、私、高濱と約束してください。(p.67)
著者はこの本の中で、何度も繰り返し伝えている文を引用しました。きっとこの本で一番伝えたいメッセージなのではないかと私は思います。
- 豊かな生活体験…「配膳がうまくできない子」は集団の中で人とぶつかりやすい。著者がサマースクールを実施した中で感じたことなのだそうです。配膳に限らず整理整頓、掃除、日常生活で誰かがやってくれることを率先してこなし、周りの人が気づいて見てくれている安心感は、子どもに「誇り」を持たせることができます。特に、子どもをよく観察して「的確に褒めてあげる」ことは、他人を気遣える魅力ある人に成長させます。
- 遊び尽くした体験…多様な自然の中で、五感を使って「遊び尽くした体験」は、人間力と学力、どちらにとっても必要な意欲を育む場となります。子どもには「ドリル」よりも「遊びで培った柔軟な思考力」が必要です。著者は、「遊び尽くした総量」が多いほど、あと伸びするとも考えています。なぜなら、成功した人に共通するのは、遊び上手だからです。人としての遊び心や魅力は、外遊びから経験し体得できる力なのです。
- 葛藤体験…失敗体験やもまれ体験を積み重ねながら、太くて、強くて、しなやかな心が育まれていきます。子どもの世界にも、喧嘩や言い合いを経験して、「思い通りにいかないこと」に悩み、我慢を強いられることもあるでしょう。それが後に、自分が感じた痛みや葛藤を「相手の立場」に置き換えて考えてみたり、「自分のどこが間違っているのか」を考え自覚できたりできるようになるのです。
- 乗り越え体験…いじめには「やめろ!」と拒否を示す勇気を持つ必要があります。いじめをはねのけるには、いくつか方法がありますが、一つはとても自信のある得意技・得意分野を持っていること。もう一つは、喧嘩のやり方・身の守り方を覚えること。たとえいじめにあったとしても、弱気を見せない。「やめろ!」と言い返す気合いを示すことが大切です。
- 哲学する体験…著者は「人間の魅力は、最終的に、その人が持っている哲学で決まる(p.92)」と考えています。哲学とは、自分はどのような考え方を持ち、何を一番大切にするのかを決めることです。つまり、自分が優先する「価値の順序」を、自分の中できちんと明らかにすることです。著者の哲学は「メシが食える魅力的な大人をたくさん育てて、日本をよくすること」。哲学を持つ人は説得力と魅力があり、人の心を動かすことができます。大切なのは、正しさではなく、自分の体験の中から見つけた答えを言葉にすること、なのです。
- 本音を知る体験…親は嘘をつかずに、子どもと本音トークをして欲しいと著者は言います。著者は、『「自分に本音で話してくれる人の数」が、人生の質を決める(p.97)』と考えています。なぜなら、身近な大人が、子どもに対して本音をぶつけなければ、子どもの哲学思考力が鍛えられないからです。キレイごと(建前)だけで育った子どもは、本当に打たれ弱いそうです。著者が本音トークして欲しいのは、子どもが考えていることや親の信念などの哲学対話です。一般論や理想論に逃げず、嘘をつかず、親は本気で子どもと対話することが、子どもの偏った常識を壊し、子どもの世界観の足場となります。
- 器を広げる体験…「器・胆力」とは、ものに動じない気持ちのことです。胆力や器量の大きな人は、人を惹きつける人間的な魅力を持っています。自分が窮地に立った時でも、他人のことを考えられる余裕を持ち、決して心を乱さず、悠々と行動できるからです。「相手を察知する力」=「人に好かれる力」です。まずは、相手がどう感じるかを察知する力を養うと良いでしょう。
2、体力(すべての活動の土台となる基礎体力)
「体力」は知力、学力、精神力を支える土台となります。体力に自信がある子どもほど、「学校の勉強が好き」という調査結果もあるほど。また、体力とメンタルヘルスとの関係も明らかです。大人も子どもも、定期的にスポーツをしている人は、ストレス耐性が高まったり、抑うつ感や疲労感を感じにくくなるそうです。
「マラソン」が得意な子どもは学力レベルも高いと著者は断言します。つまり「脚力」のある子どもほどあと伸びすると考えています。なぜなら、勉強には粘り強さやとことんやり抜く力が必要だからです。「1500m走のタイムが『5分』を切る生徒は、学力が高い」という調査結果があるそうです。
脚力は日常生活の中で鍛える習慣をつけると良いです。階段を上り下りしたり親子でジョギングやウォーキングをしたり、毎日続けることで脚力がアップし、親子の絆も深まるでしょう。
3、やる気(自分から楽しんで行動する力)
8、9歳くらいの幼少期までに「頭のよさ」の核心部分が育ちます。さらにこの時期は、前向きに生きる力を育て、自己肯定感を高めることがとても大事です。「自己肯定感」とは簡単にいうと、自分が好きという気持ちです。その気持ちを育てるには、以下のことをすると良いと著者は考えています。
- できないことを叱るより、できたことを褒めてあげます。親は我が子のできないところに目が向きがち。結果よりも努力した部分をみて認めてあげるのが大切です。
- 「共感力」が高い子どもは「みんなと一緒」に成長できます。人と接するとき、相手の意図を理解して、先に相手を受け止めることができる(相手の視点に立てる)、別の見方があることを教えてあげるのです。
- 自分の力で解き明かす快感を子どもに経験させると良いでしょう。「わかっちゃった快感」を知っている人は「自分の頭で考える」ことが好きになります。
- 「そんなことより勉強を頑張りなさい」と親は言わないこと。子どもを信じて、やりたいことを見守り手助けして上げられるのが、親の子どもへの信頼なのです。
- 「ギリギリもしかしての目標」が、やる気のスイッチを入れます。「自分なりに必死でやって、ギリギリもしかして到達できるかどうか」のところに目標を定めます。そして、ギリギリの目標を達成し、これを繰り返すことでさらに努力するやる気に繋がるのです。また大切なのは、子どもの目標設定は親がしてはいけません。子ども自身に目標を立てさせた方が絶対に良いと著者は断言しています。子どもの責任感と使命感が目標達成により近づくためです。
まとめ
以上が、「本当に頭がいい子の育て方」の7つの力のうち3つの力についてまとめてみたものです。
私はこの本を読んで、表紙帯にも書かれていますが、たくさん外遊びをして体力や忍耐力を培い、友達やライバルと競争し失敗した経験を持つことが、結果、知力を高めているのではないかと考えました。知力の土台となる国語力や算数力について詳しく(その2)に書かれてあるので、そちらもぜひご覧ください(リンクはコチラ)。
また、高濱先生が関わった子どもたちの実例やここではまとめられなかったことも記載されているので、もっと詳しく知りたい方はぜひ本を手にとって読んでみてください!
今回ご紹介した教育法は科学的根拠に基づいたものではありませんが、一つの考え方として子育ての参考になればと思います。
忙しい育児の中で読む時間が取れなかったり、じっくり本の世界に浸れなかったりしますよね?そんな時にこのまとめがお役に立ったら嬉しいです。
今後、NOCCでは他の書籍もご紹介していくので、引き続きご参考いただければと思います。
まとめや要約を知りたい書籍がございましたら、ぜひお気軽にコメントください。
書籍情報
書籍名 | |
著者 | 高濱 正伸
「情熱大陸」 「カンブリア宮殿」 「ソロモン流」をはじめとするTV出演のほか、ラジオ、雑誌、新聞などにおいても、そのユニークな教育手法が紹介されている。 |
発行所 | ダイヤモンド社 |
発行日 | 2014年8月28日 |
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