「本当に頭がいい子」を育てる方法とは!?(その2)

みなさんこんにちは。
前回は、著者・高濱正伸先生の「本当に頭がいい子の育て方」より「本当に頭がいい人」になるための「7つの力」のうち前半3つをご紹介しました(リンクはコチラ)。今回は、後半の「4つの力」をご紹介していきます。具体的な国語力・算数力に加え、著者が考える家庭で伸ばせる力も記載されているので必見です!

以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。

本当に頭がいい子の育て方

4、言葉の力(国語力)(すべての学力の土台となる力)

著者は、「全ての学力の土台」は「国語力(日本語力)」にあると確信しているそうです。なぜなら人間は言葉を使って世界をとらえているからです。勉強には問題の文章そのものを正しく読み取れる力が必要です。

その「国語力」は家庭の中にカギがあるようです。言葉に対する「家庭文化の差」は、学力の差に直結しているそうです。そこで子どもの語彙を増やす6つの方法を紹介しています。言葉の数は日常体験から増やすのが基本です。

  1. 家族旅行」や「外遊び」で「感じる心」を育てる
    国語のテストで問われる「物語の情景」や「人の気持ち」は、様々な原体験を積むことではじめて理解できます。知識として言葉を覚えるのではなく経験の中で体感覚を伴いながら意味を理解すると問題への理解力が高まります。
  2. 見たこと、感じたことを「比喩」で表現する
    比喩が使えるようになると表現に深みと味わいが出ます。慣用句として暗記するだけでなく、実際に見て感じたことを親がお手本として使ってみせると良いでしょう。「こういう時は『水を打ったような静けさ』っていうのよ」などのように伝えると言葉を理解し覚えることができます。
  3. 子どもの疑問にきちんと答える
    特に小学校低学年までの子どもは、見聞きする言葉に強い興味を抱いています。質問されたらきちんと答えてあげましょう。子どもの好奇心に水を差さず、真剣に付き合ってあげましょう。親が答えられないことは一緒に調べたり、後で教えてあげるねと返事するなどしてやる気につなげてあげます
  4. リビングに辞書を常備する
    言葉の正しい意味や使い方を理解するため辞書を活用しましょう。「親が辞書を引く頻度と子どもの学力」が正比例していることが分かりました。「辞書を引きなさい」と諭す前に、親が辞書を引く習慣をつけることが大切です。
  5. 日記」をつけさせる
    書くことに慣れさせるのは、日記がおすすめなようです。なぜなら、「正確な言葉を使って書く」トレーニングになるからです。書く量は多くなくて構わないので、とにかく毎日の習慣にするのが最も大切です。
    著者が日記の条件として掲げているのは、「子どもが小学5年生になったら、親は子どもの日記を絶対に見ない」ことです。親が見ているうちは、子どもは自分の本音をさらけ出すことができないからです。
  6. 名文を書き写させる
    日本の名文・詩・唱歌や童話などの文章を写すことで、日本語の語感、リズム、詩的な表現を味わうことができるのです。

以上、子どもの語彙を増やす6つの力を紹介しました。私は、言葉はそのひととなりを顕し、アイデンティティの一つだと思うので、上記6つのことはぜひ家庭の中で意識したいと感じました。親自身が辞書を引き、言葉を磨くのを怠らず、それを子どもに見せるまたは一緒に取り組むのが良いと思いました。

著者は、「英語教育」の前に「日本語教育」をと本の中で伝えています。英語が必修化される中で、自国の日本語が疎かになっては元も子もありませんよね。自分の言葉で事象を説明できて、尚且つ、他者を思いやる言葉が使えると、「他人を幸せにできる」のではないでしょうか。

5、見える力と詰める力(算数力)(意図を読み取り粘り強く考える力)

「見える力」と「詰める力」

算数には「考える力を養う」全てがあるそうです。なぜなら、算数の問題はイメージした事柄を道筋立てて最後まで考え続ける集中力が必要だからです。試行錯誤して何度も間違え、新たな発見を見つけ、結果に辿り着く工程を何回も踏むことで鍛えられます。

「見える力」とは、イメージしたり発想したりする力です。立体問題には空間認識力、出題の意図を読み取るにはイメージ力が必要でしょう。
「詰める力」とは、道筋立てて最後まで考え続ける集中力です。答えをすぐに教えてもらうのではなく、自分で答えを見つけ出そうとする力です。思考力の本質は、この「見える力」と「詰める力」にあるそうです。

 
本の中に、具体的な「見える力」「詰める力」を必要とする例文や問題が載っているので、お子さんと解いてみても良いかもしれません。実際に花まる学習会で使っているような問題を見ることができます。
 

外遊び

著者が度々伝えているのが「外遊び」の素晴らしさです。外遊びこそが算数の最高の教材と断言しています。なぜなら、五感を使って遊び尽くす体験問題解決力に結びつくからです。夢中になって遊ぶことが大切です。

「コンピューターゲーム」は夢中になって遊べる遊びであることには変わりませんが、脳のほんの一部にしか刺激を与えません。座学よりも飛んで、跳ねて、走り回る外遊びこそが算数の最高の授業になるそうです。

6、親子力(親と子どもの関係から生まれる力)

7つの学習観の勘違い

ここでは、親が陥りがちな「7つの学習観の勘違い」について紹介されています。
  1. 勉強の問題は、速く解かなければいけない
  2. 外で遊ばせるより、本を読ませるべき
  3. 「できないこと」を「できる」ようにさせるのが先決
  4. 「ドリル」はたくさんやらせたほうがいい
  5. 同じ失敗を何度もさせてはいけない
  6. ノートは「きちんと」書かなければいけない
  7. 小学校低学年も、高学年も「子育てのしかた」は同じでいい

著者によると、これらは間違った学習観です。

⑦は特に詳しく知る必要があります。著者は、「幼年期」と「思春期」を「オタマジャクシ」と「カエル」に例えてお話しすることがあるそうです。個人差はありますが、4〜9歳オタマジャクシ落ち着きなく同じ失敗をして計画性がない)、11〜18歳カエル自我に気づき自立して反抗心を持ち、親以外との絆を求める)に分類できるそうです。

学力の面でも、小学校4年生(10歳)は分岐点です。「オタマジャクシ」の時期に基礎力をつけないと、その後のあと伸びが難しくなってしまうからです。

思春期の子どもには

幼年期の子どもは子どもの性差に関係なく、「お母さん」の役割が大きいです。ですが、思春期になると、「子どもと性が異なる親」が果たせる役割は、それほど多くないそうです。つまり、思春期の子どもの心に寄り添えるのはどちらかというと「同性の親」に移り変わるのだそうです。

思春期になると、「大人の本音」「社会の本音」を知りたがります。そこで一番大切なのは、親が「自分の歩んできた人生」や「大人としての本音」を、いいことも悪いことも含めて、しっかりと子どもに語ってあげることです。つまり親の方から自分をさらけ出すのが基本です。

女の子にとっては身近なお母さんが目標ですし、母娘だけの秘密を作るのが上手です。男の子はお父さんにしか言えない「男の本音」を語ってあげることで信頼を築き、自立を促すのが良いでしょう。

7、あそぶ力(ものごとを柔軟に考えられる力)

最後は、著者が意識して身につけさせてほしい力あそぶ力です。「あそぶ力」とは、柔軟な思考力を持っていること、つまり考え方の「ゆとり幅」のことです。車のハンドルのように、『あそび』があることで運転しやすくなっていますよね。

著者は、人間の能力にも、この「あそび」が必要だと考えているのです。つまり、ものごとを「ひとつの正攻法だけ」に決めつけずに、もっと柔軟に考えた方がいいということです。定石や常識から離れることを嫌がらず、アプローチのしかたを変えていきながら状況を変えていける力がこれから必要とされるのです。

 
「あそぶ力」は7つの要素に大別されます
  1. 別解を楽しむ力…自分で思いつくことを楽しむ力
  2. 俯瞰する力…全体の中の位置を把握する力
  3. 切り替える力…いくつかのパターンを想定できる力
  4. 見方を変える力…別のアプローチ方法に気づく力
  5. 再試行する力…間違いを楽しめる力
  6. ユーモア力…人を喜ばせることを楽しむ力
  7. 複数の処理を高速で行う力…2つ以上の軸で同時に考える力
この7つの要素をもつ子どもは、物事を多面的に考え、一度つまづいても前向きに捉え、立ち直りが早いです。
ここでもこの7つの要素を鍛える例文や問題が載っているので、お子さんと解いてみても良いかもしれません。実際に花まる学習会で使っているような問題を見ることができます。
 
最後に、著者はこうまとめています。
 
親の役割とは、あえて「逆境」を子どもに経験させつつ、信じて、見守り、愛してあげること(p.376)

私はこれを見て、逆境を経験した子どもは、思い通りにいかないことをバネに、強く自分の道を進んでいけるからこそ、他者を思いやる気持ちや余裕が生まれるのではないかと感じました。

まとめ

以上が、「本当に頭がいい子の育て方」の後半をまとめてみたものです。

私はこの本を読んで、「本当に頭がいい子」とは机上の教科学習に留まらず、幼少期の外遊び親子の絆・友達との会話により形成される人を惹きつける魅力ある人格がとても大事だと感じました。なぜかというと、この本で紹介される、人を思いやる優しさや失敗から学ぶ忍耐力がある子どもたちはとても頭がよく、他人を幸せにできる力があるなと感じたからです。

また、他人の幸せを願える子どもは、親から幸せをたくさん分けてもらった子だと思います。著者が頻繁にこの本で訴えていることは、親が子どもの人格を否定する言葉は使わない・たっぷりの愛情を注ぐ、でしたね?!
子育て中はイライラすることもありますが、この本を読んで、私はイライラしてもその後必ず「大好き」と言葉にして伝え、「ギュッと」ハグするようにしています。子どもの幸せのプールが満タンになることを日々目指しています。

今回ご紹介した教育法は科学的根拠に基づいたものではありませんが、一つの考え方として子育ての参考になればと思います。

忙しい育児の中で読む時間が取れなかったり、じっくり本の世界に浸れなかったりしますよね?そんな時にこのまとめがお役に立ったら嬉しいです。

今後、NOCCでは他の書籍もご紹介していくので、引き続きご参考いただければと思います。
まとめや要約を知りたい書籍がございましたら、ぜひお気軽にコメントください。

書籍情報

書籍名

本当に頭がいい子の育て方

著者 高濱 正伸


花まる学習会代表。1959年、熊本県生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。同大学大学院修士課程修了。1993年、小学校低学年向けの「作文」 「読書」 「思考力」 「野外体験」を重視した学習教室「花まる学習会」を設立。同時に、ひきこもりや不登校児の教育も開始。1995年には、小学4年生から中学3年生対象の進学塾「スクールFC」を設立。教育信条は、子どもを「メシが食える魅力的な大人に育てる」こと。教室での独創的な授業のほか、サマースクールや雪国スクールなど、独自の試みが評判を呼び、花まる学習会、スクールFCの会員数は1万8千人を超える。また、各地で行う講演会も、毎回キャンセル待ちという盛況ぶり。

「情熱大陸」 「カンブリア宮殿」 「ソロモン流」をはじめとするTV出演のほか、ラジオ、雑誌、新聞などにおいても、そのユニークな教育手法が紹介されている。
著書は、『夫は犬だと思えばいい。』(集英社)、『わが子を「メシが食える大人」に育てる』(廣済堂出版)、『大人の「メシが食える力」10』(マガジンハウス)など多数。累計売上100万部超。

発行所 ダイヤモンド社
発行日  2014年8月28日

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