おうちモンテッソーリをするならこれ!非認知能力を伸ばすやり方とは?

こんにちは。

今回は「非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ」について書かれている書籍をご紹介します。

本書は、モンテッソーリ教育と非認知能力の親和性について分析しまとめています。また、実際のモンテッソーリ園卒業生とその親のインタビューや、巻末には実際におうちモンテッソーリに使える付録がついており、とても豪華な内容だと思います。

モンテッソーリ園は今とても人気ですし、幼児教室は費用が高いものも多くあるため、「おうち」でモンテッソーリ教育を本格的に取り入れられる本書は画期的だと思います。
本書の特徴である77もの教具やお仕事がイラスト付きで説明されていますが、ここでは、おうちでモンテッソーリ教育を取り入れる際の注意点ややり方に比重を置き、ご紹介したいと思います。

それでは早速、見ていきましょう!

以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。

非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ 77のメニュー

まずは、本書で一番需要なキーワードとなる「非認知能力」について説明します。

1.非認知能力とは?

非認知能力とは、2000年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のジェームズ・J・ヘックマンが初めて提唱した概念です。ヘックマンは非認知能力に関する就学前教育を幼稚園で実施し、その子どもたちが大人になるまで調査しました。その結果、就学前教育を受けた子どもたちの方が就学前教育を受けていない子どもたちに比べて学歴や年収が高く、犯罪率が低かったのです。

非認知能力は主に3つに整理できます。
自分と向き合う力=自分を維持・調整できる力 (自制心、忍耐力、レジリエンス・回復力)
自分を高める力=自分を変革・向上できる力 (意欲・向上心、自尊感情、楽観性)
他者とつながる力=他者と協調・協働できる力 (コミュニケーション力、共感性、社交性、協調性)

脳科学的に言うと、認知能力は記憶学習などの側頭葉が司りますが、非認知能力は前頭葉の前頭前野が司ります。基礎レベルの非認知能力は乳幼児期からも成長していきますが、ぐんと伸びるのは小学校3、4年生くらいからと言われています。そのため、幼児期に自己肯定感を含む土台を形成し、小学校中学年で非認知能力を伸ばしていけば良いのです。

中高生、大人になってからでも気付きさえ得られれば、非認知能力は伸ばすことができます。自分で選択すること、様々な体験を積み重ねることで非認知能力を高めることができるのです。非認知能力を伸ばしたいと考えている人は、柔軟に謙虚に物事を学ぼうと、能動的に捉えていくよう心がけてみてください。

以上、非認知能力について説明してきましたが、モンテッソーリ教育こそがこの非認知能力を育む最適な教育なのだということをこれから見ていきましょう!

2.非認知能力を伸ばすモンテッソーリメソッド

モンテッソーリ教育では、0〜24歳までの時期を6年ごと・4つに分けた発達段階に分けて、それぞれに適したアプローチをしていきます。中でも最も大事な時期は0〜6歳で、理由は生きるために大切な能力が得られる「敏感期」が集中するからです。モンテッソーリは「新しい段階に順調に入っていけるかどうかは、その前の段階をいかに充実して終了できたかにかかっている」と語っています。そのため、段階を飛ばさずに一段一段歩んでいけるよう、大人として見守ることが大切なのです。

おうちでモンテッソーリ教育をするならまずは大人の心構えが必要です。「子どもは自らを成長・発達させる力を持っている=自己教育力がある」ため、大人が口出ししてはいけません。大人はただ黙ってゆっくりやり方のお手本を見せるだけ。子どもの質問にもすぐには答えず、一緒に考えながら子どもが答えを発見できるように導きます。

つまり、「自分で選ばせる→子どもを観察する→環境を整える→やり方を示す→一人で最後までやらせてみる→見守る」の順番で子どもの成長や発達を見守っていくのが最適なのです。

3.非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ 

子どもが無心になって何かに集中する時期=敏感期における活動をモンテッソーリ教育では「お仕事」と言います。このお仕事を助ける道具が「教具」です。例えば、何かを掴みたがる時期に掴む練習になる教具を使うと、子どもは夢中になってそのお仕事に取り組みます。教具は一般的なおもちゃと違って、「子どもが今感覚的に身につけたいと考えている能力を、大人が押し付けることなく、効率的に身につけることを助ける」ことができます。

教具には5つの領域があり、①日常生活の練習をベースに、②感覚、③、④言語、⑤文化に分かれています。どれもが独立しているのではなく、段階を踏んでいきながら非認知能力を伸ばすことができます。

おうちモンテッソーリで守ってほしいことが5つあります。

  1. 子どもが思いっきりお仕事に取り組める環境を整える
    子どもがやりたいと思った時にできる限りスムーズに落ち着いて取り掛かれるようにしましょう。その際、教具の選択肢を多くしすぎない、決まった場所に配置する、子どもの目線の高さを意識する、などを配慮しましょう。
  2. 子どもが扱いやすいものを用意する
    用意した教具は全て子どもに合ったサイズ(大きさ、重さ、形状)になっているか確認しましょう。またできれば、木、陶器、ガラスなどできるだけ本物を与え、丁寧に扱うことを覚えさせましょう。
  3. 領域のつながりを理解し、無理なく進める
    5つの領域や教具にはそれぞれ密接なつながりがあります。年齢や発達に合った教具やお仕事を与え、段階的にバランスよく取り組みましょう。
  4. 見守る姿勢を大切に
    教具はあくまで成長を助ける補助の道具です。教具を揃えればモンテッソーリ教育がうまくいくわけではありません。大事なのは、子どもの「自己教育力」を信じて見守ること。子どもが今どんな敏感期にいて何を身につけようとしているのか、よく観察しましょう。
  5. 教えるのではなく「導く」
    子どもが自分で考え答えを出せるように導いていくのが大人の役割です。教具を使うときは大人が手本を見せますが、この時も言葉で説明するのではなく、ゆっくりと見本を見せるだけに留めます。こうすることで子どもも大人のやり方を注意深く観察し、試行錯誤しながら自らの力で成長していくのです。

モンテッソーリ教育では、子どもが自由に選択することをとても大事にしていると同時に、自由の元で規律や制限をかける必要があると考えています。自由放任にするのではなく「制限のある自由」の中で自己管理ができる子に育つよう見守るようにしましょう。

4.非認知能力を伸ばす言葉がけ

おうちでモンテッソーリ教育を取り入れようとしても、すぐに飽きる、手本をみてくれない、など思い通りにいかないことはありませんか?そんなとき、どのように対応すれば良いのか、どんな言葉がけをすれば良いのか、いくつかのヒントをみていきましょう!

  1. 子どもが夢中になっているとき
    基本的には親は声をかけず、姿を見せず、子どもがやりたいだけやらせるようにしましょう。安全を確認しながら見守るのが一番です。
  2. お仕事のやり方を見せても見せる前にやろうとしてしまう
    2〜3歳くらいは、待てずにやり始めてしまう子どもが多いようです。「どういう風にやりたいの?」とたずねて子どもに自由にやらせてみましょう。やり方が違っても決して否定はしません。そして子どもの考えを聞き、「見ていてね」と声をかけてみましょう。
    もしかしたら、そのお仕事がまだ、子どもの発達段階に合っていない可能性も。その場合は「また今度やろうね」と引き上げるのも一つの方法です。
  3. すぐあきらめてしまう。もう少し粘り強く続けてほしいとき
    子どもの力を見極めて「ここまでできたら見せてね」と、スモールステップを踏んでみましょう。うまくいかず癇癪を起こしても、「よくここまで頑張ったね。また今度やろう」と言い、無理をさせません。大事なことは、うまくいかない原因をよく観察して、手助けすること。できていることや頑張ったところは分かりやすくほめ、再挑戦するか、また今度にするか、自分で選択させるようにしてみましょう。
  4. 「下手だもん」とネガティブな発言を子どもがするとき
    日頃、出来上がりの良し悪し、結果ばかりをほめていないか振り返ってみてください。子どもは、過程の工夫や頑張りを労ったり評価されると、どんな出来栄えでも喜ぶものです。「ママは気に入ったよ」などポジティブな感想を伝えるようにしましょう。
  5. 思い通りにならずにふてくされているとき
    まずは、そっとしておいて、すぐには関わらないようにします。少し時間が経って落ち着いたら、「何か嫌なことあったの?」とやさしく声をかけ、理由を尋ねて気持ちに寄り添ってあげます。そして「あなたはこうしたかったんだけど、それがうまくいかなかったから、悲しかったんだね」と子どもの考えていることを代弁してあげるような形で伝えてあげましょう。

モンテッソーリ教育では、できる限り、子ども本人が納得いくまで付き合うのが理想です。しかし、大人の都合で子どもに合わせられないときは、無理をする必要はありません。そんな時は、子どもと競争したり、手伝ったりして、納得して終わらせるよう仕向けてみましょう。

まとめ

以上が、「非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ 77のメニュー」をまとめてみたものです。

本書は、細かい状況での対処の仕方や具体的な実例が年齢別に載っているため、イメージしやすくとても勉強になります。
また巻頭に、写真付きでお仕事や教具(遊び道具)が載っているのも分かりやすく家庭で取り組みやすいため参考になりました。

今回まとめてはいないですが、各章でモンテッソーリ教育の理念や思想のまとめが記載されており、理解を深めやすいです。モンテッソーリについて全くの無知な方でも、本書を読めば簡単におうちでモンテッソーリ教育を取り入れられ、実践できると思います。

今回ご紹介した教育法は科学的根拠に基づいたものではありませんが、一つの考え方として子育ての参考になればと思います。

忙しい育児の中で読む時間が取れなかったり、じっくり本の世界に浸れなかったりしますよね?
そんな時にこのまとめがお役に立ったら嬉しいです。

今後、NOCCでは他の書籍もご紹介していくので、引き続きご参考いただければと思います。
まとめや要約を知りたい書籍がございましたら、ぜひお気軽にコメントください。

書籍情報

書籍名

非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー

著者

しののめモンテッソーリ子どもの家+中山芳一/監修

中山芳一(なかやまよしかず)

岡山大学全学教育・学生支援機構 准教授
専門は教育方法学
1976年1月、岡山県生まれ
大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中学生、高校生たちまで、各世代の子どもたちが非認知能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。
さらに、社会人を対象としたリカレント教育、全国各地の産学官民の諸機関と協働した教育プログラム開発にも多数関与。
9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありきの研究」をモットーにしている。
発行所 東京書籍
発行日 2020/09/24

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