モンテッソーリで子育ての悩みを解決!0〜6歳の実例から学ぼう!

こんにちは。

今回ご紹介する本は、モンテッソーリ教育の観点から、実際に寄せられた質問を例に、子育ての悩みを解決する方法について書かれています。

本書は、著者が主宰するモンテッソーリIT勉強会「てんしのおうち」に寄せられた実際の子育ての質問を元に作成した68個ものQ&Aを載せています。また、モンテッソーリの理念や教育の成り立ちが解説されていて、モンテッソーリを全く知らない初心者でも、簡単に理解できるよう分かり易く書かれているのがとても良いと思います。

それでは早速見ていきましょう!

以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。

モンテッソーリで解決!子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A 68

まずは、この本の真髄であるモンテッソーリ教育について、簡単に解説します。

1.モンテッソーリ教育とは?

モンテッソーリ教育とは、イタリアで初めての女性医学博士となった、マリア・モンテッソーリが提唱した教育法で、「子どもを観察し、発達に即した援助をする」ことがこの教育の本質です。
日本では、棋士の藤井聡太氏やマイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏など天才が受けていた教育ということから、早期教育や英才教育と勘違いされやすいのですが、元々は知的・発達障害の治療教育であり、貧困家庭の子供たちへの教育から発展してきた教育法であることを私はもっとみなさんに知ってほしいと思っています。つまり、どんな子どもにも適応可能で、子どもの持つ力を伸ばすことができる教育法なのです。

モンテッソーリ教育のポイントは二つ。「大人と子どもは違う存在なため、大人の物差しで子どもを見てはいけない」ことと、「子どもの発達は、順序や時期が自然のプログラムに従っている」ということ。両方とも、大人主導の子育てや考え方を否定し、子ども視点の自然な流れに任せることを意味しています。

ここで、モンテッソーリ教育の最も重要なキーワード「敏感期」をご紹介します。
敏感期とは、特別に敏感な感受性を発揮する時期のこと。これは幼少期にしか現れず、子どもの年齢や特性によってその感受性が変化します。例えば、運動や秩序、感覚や言語などに敏感な時期があり、その時期は無意識的に吸収し学んでいくのです。この敏感期に沿った遊びや手作業「お仕事」を用意してあげると、子どもは集中力を発揮し、自然に成長していくのです。

モンテッソーリ教育というものが分かった上で、本書の特徴である68ものQ&Aの中から、私が特に知って欲しいと思ったものをいくつか選びましたので、順番に見ていきましょう!

2.基本的信頼感(0〜1歳ころ

Q、授乳時にスマートフォンを見るのは良くないそうですがなぜですか?
→A、授乳は、人生最初の人とつながるとても大切な体験だから。
赤ちゃんの目は30センチメートルのところ、大好きなお母さんの顔が見えるところで焦点を合わせられるようにできていて、食べ物をくれる唯一の存在、お母さんと心の交流をしたがっているのです。6〜7ヶ月ごろからは表情も読み取れるため、この世のすべてであるお母さんと基本的信頼感を築くために、この時期は目と目を見交わして授乳すべきなのです。

Q、レストランで食器を投げたり壊したりして困っています。
→A、いくつかの作業から、自分の好きなお仕事を選ばせましょう。
まず、「レストランに行くこと・ご飯を食べる時は静かにすること」を事前に伝えます。事前にしっかり伝えることで子どもは安心しますし、それが子どもを尊重することにつながります。

そして、この行動のような「運動の敏感期」にいる赤ちゃんには、「周りに迷惑にならない手作業」をさせると良いです。例えば、紐通しやボタン留めなどの「お仕事」をレストランで待っている間にやらせると集中して取り組みます。強制的に壊れる物を取り上げたり、ダメと言い続けるのは一時しのぎにしかなりません。別の何かに気を逸らし楽しく集中させてあげるのが良いでしょう。

3.提示と秩序感(2歳ころ)

Q、家の中で大声で話したり、走り回ったり、いくら言い聞かせても聞いてくれません。
→A、言い聞かせるよりも、「実際にやって見せる」のが効果的です。
具体的に大声で話すのと小声で話すのを見せてみる、ゆっくり歩いて見せるなど、親が実際に提示することで子どもは理解し真似ることができます。
落ち着いた子どもになるには自律が必要です。自己コントロールするには、「道具が乗っているトレイを両手で持って運ぶ」ことや「1本の線の上を片方のつま先をもう片方のかかとにつけて歩く線上歩行をする」ことなどの練習が最適です。親と一緒に遊びながら取り組めば、楽しく自律できるようになります。

Q、突然大泣きを始めることがあり原因が分からず困っています。これが「魔の2歳児」なのでしょうか?
→A、子どもにとって秩序が狂う苦しみは大きいため、「いつもと同じ」ことが大切です。この時期は「秩序の敏感期」といわれ、何かに強いこだわりを持つためいつもの「秩序感」が大切です。もし大泣きすることがあったら、何か狂わせていないか考えましょう。物の置き場所、規則正しい生活リズムなど、なるべく毎日同じように生活することで解決できるかもしれません。

4.逸脱と人格形成(3〜4歳ころ)

Q、すぐに癇癪を起こして物を投げ、友達を叩いたり、自分の頭を壁や床に打ち付けることもあり困っています。
→A、モンテッソーリは「不安定な行動をとる子どもは、心が満足していない状態」にあり、この精神的な飢えを「逸脱した状態」と考えているので、まず心を満たしてあげることが第一優先となります。

具体的に示すと、まずは「そう、分かったわ」と子どもの気持ちをそのまま受け止めます。この一言がとても大事だそう。そして、「◯◯ちゃんは、これが嫌だったのね」と子どもの名前をはっきり言って気持ちを代弁します。子どもは思いをうまく言葉で表せずに自分自身に腹立たしくなっていることがあるからです。さらに、ぎゅっと抱きしめ、「今度からはこうして欲しい」と言葉で伝えると良いでしょう。

Q、食事中に席を立って遊んでしまいます。どうしたら食事に集中できますか?
→A、決まった時間にお腹がすいた状態で食事をしましょう。
お腹が空いていない理由として、①外遊びなどの運動が十分にできていない、②睡眠不足、③食事の時間が不規則、④食事前におやつや甘い飲み物を摂った、などが考えられます。決まった時間に食べると同時に、終わりの時間も決めておくのがポイントです。小さな子どもは時間というものを意識するのが難しいので、15分とか30分の砂時計や時計の長い針にシールや付箋を貼るなどの工夫ををして、視覚的に時間がわかるようにするのも良いでしょう。

5.正常化(5歳ころ)

Q、乱暴でわがままで反抗的で、毎日朝から晩まで怒ってばかりです。どうしたら良いでしょう?
→A、理想の姿は、目の前の子どもの中に隠れている。
落ち着きがなく不安定、あるいは乱暴や大泣きする状態の「逸脱」してしまった子どもが本来の子どもの姿に戻ることを「正常化」と呼んでいます。そんな時は「子どもが何に興味を持っているのか・何をしたいのかを観察」し、その中にその子のやりたいことを信じて認めることが大切になります。
「お仕事」に集中させたり、お手伝いをしてもらうのも良いでしょう。子どもが面倒くさがったりうまくいかなくて投げ出してしまうこともあるかもしれませんが、繰り返すうちに必ずできるようになります。

Q、手に負えない子どもの日常が当たり前で諦めかけています。「正常化」とはどのような姿なのですか?
→A、モンテッソーリは「正常化」した子どもは、「落ち着きがあって穏やか、集中力があって自分をコントロールでき、人と協力することができ、愛情あふれる子ども」であり、「新しい子ども」と呼びます。
それにはまず、適切な提示によって子どもがやりたくなったら、あとは子ども自身が選んだものに繰り返し関わらせてあげます。子どもが集中して取り組み、達成感を持って自分から終わらせたとき、大きな変化が起こり「正常化」した姿が見えてきます。「提示→繰り返し→集中→達成感」の4段階を経ることが大切なようです。

6.文化(6歳ころ)

Q、子どもの悪い点ばかりが気になってしまいます。子どもの本当の姿を見るにはどうしたら良いでしょうか?
→A、子どもを3ステップで観察しましょう。
①先入観や思い込みをやめ、肯定的に見る。
「いつもゲームばかりしている」「部屋を片付けしようとしない」など親の主体的な思い込みを止め、子どもが集中していることを肯定して見るようにすべきです。
②知識を持って見る。レオナルド・ダ・ヴィンチの名画を見ても絵画について学んでいなければ価値が分かりませんよね。子どもについても同じで正しい知識を持って見ることが必要です。
③観察したことを書き出す。子どもを肯定的に見られるように「今日の◯◯ちゃんの良いところ」など観察したことを書き出しておくと、子どもの様々な面が見えてきます。子どもの良いところを忘れないように箇条書きのメモを残しておくと良いでしょう。

Q、ゲームばかりして、何を言っても聞く耳を持ちません。
→A、否定せずに別の世界のおもしろさを伝える。
言葉で否定して楽しみを無理やり取り上げても、逆に隠れてするようになったり、もっと深刻な事態になったりすることがあります。児童期の子どもたちの特徴として注目すべきは仲間意識です。群れ本能があるためグループを形成したがるようになります。これが社会の最初の形となり、社会の一員としてどのように振舞うのが良いのか学んでいくのです。

モンテッソーリはボーイスカウト活動をすすめていました。このほかにも体験イベントやスポーツ、楽器など別の楽しい体験を提案してみると良いでしょう。バーチャルな世界よりも現実世界でもっとおもしろいことがあると伝えることが大切です。

まとめ

以上が、「モンテッソーリで解決!子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A 68」をまとめてみたものです。

本書は、細かい状況での対処の仕方や具体的な実例が年齢別に載っているため、イメージしやすくとても勉強になります。
また巻頭に、写真付きでお仕事や教具(遊び道具)が載っているのも分かりやすく家庭で取り組みやすいため参考になりました。

今回まとめてはいないですが、各章でモンテッソーリ教育の理念や思想のまとめが記載されており、理解を深めやすいです。モンテッソーリについて全くの無知な方でも、本書を読めば簡単にモンテッソーリ教育を知ることができると思います。

今回ご紹介した教育法は科学的根拠に基づいたものではありませんが、一つの考え方として子育ての参考になればと思います。

忙しい育児の中で読む時間が取れなかったり、じっくり本の世界に浸れなかったりしますよね?
そんな時にこのまとめがお役に立ったら嬉しいです。

今後、NOCCでは他の書籍もご紹介していくので、引き続きご参考いただければと思います。
まとめや要約を知りたい書籍がございましたら、ぜひお気軽にコメントください。

書籍情報

書籍名 モンテッソーリで解決!子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A 68
著者 田中 昌子

エンジェルズハウス研究所(AHL)所長。国際モンテッソーリ協会(AMI)公認モンテッソーリ教師。上智大学文学部卒。日本航空株式会社勤務の育児休職中にモンテッソーリ教育と出会う。同社を退職後、モンテッソーリ教師資格を取得。日本初のインターネットを利用したモンテッソーリIT勉強会「てんしのおうち」を2003年より主宰。各地のモンテッソーリ園で保護者向けの講演会を行うほか、カルチャーセンターの講師をつとめる

発行所 講談社
発行日 2020/06/18

 

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