「世界最高の子育て」に必要なのは学力ではない!?

みなさんこんにちは。
将来お子さんに、どんな力を身に付けてほしいですか?
世界水準の思考力コミュニケーション能力心が折れない精神力、これらはグローバルな社会を生き抜くために必要な力なのだそうです。

今回は、今教育界でホットワードである「非認知能力」にいち早く着目し、現在執筆活動や講演、ライフコーチとして日々活躍されている著者、ボーク重子さんの代表的な一冊をご紹介します。

著者は日本の偏差値重視でモノカルチャーな教育観を危惧し、自身の子育てを通して知り得たアメリカのトップスクールで身に付く「5つの力」を紹介しています。

「5つの力」とは一体何なのでしょうか!?以下ご紹介したいと思います。

以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。

「全米最優秀女子高生」を育てた教育法 世界最高の子育て

1.世界水準の「思考力」を養う

考える力を養う3つの思考法で「自分で考える、自分からやる子ども」が育ちます。
その3つの思考法とは、「自分で考える力」「実行機能」「クリティカルシンキング」です。
これは学校だけでなく、家庭でも十分に訓練できるので、その具体例を紹介していきます。

  • 家族の会話の中でYES/NOで答えられない「オープンエンド」な質問をして自分で考える習慣を身につける
  • 家庭の中でお手伝いのような簡単で小さな達成感を味わえる役割を持たせる
  • TO  DOリストを作成し、自分の行動をモニターすることで、計画→行動→結果のシンプルな流れが実行機能を高める
  • 理由つきの「ちょっと待ってね」で自制心を育て、待った後約束を守ることで安心感が得られる
  • 身近な問題や物事の両側面を考え、細かく分析し自問することでクリティカルシンキング(批判的思考)を鍛える
  • Pros(良い点)&Cons(悪い点)という賛否両論表のようなもので、感情に流されずに論理的結論を出す練習をする

著者は子どもが何か手伝ってくれた、何かできたからといって物質的・金銭的なご褒美は一切与えなかったようです。それはご褒美が100%の達成感とたくさんの褒め言葉だからとのこと。子どもを信じて見守ることで子どもが自ら考える真の思考力が鍛えられるようです。

2.双方向の「コミュニケーション力」を養う

国際化・多様化の進む社会では自分の意見を持ち、それを効果的に表現する力が問われます。社会で通用する高い「コミュニケーション力」を身に付けるためには、以下3つの力を鍛えるのが良いです。

プレゼン(パブリックスピーキング)力を鍛える

伝える力は訓練すれば上達します。アメリカの幼稚園では「ショー&テル(Show&Tell)」というプレゼンテーションをします。これは、子どもたちが自分のお気に入りのものを持参し、それについて説明するといったもの。ただスピーカーがプレゼンするだけでなく、リスナーは一生懸命に聞いて質問するのがマナーです。これにより双方向のプレゼン力が養われるのです。
著者の家庭では、毎晩夕食時に今日の出来事を伝えあったり、毎月家族の誰か一人が3分間のスピーチをしてプレゼン力を鍛えていたようです

対話力を鍛える

会話の中で意見を述べる時、間違っちゃいけないという恐怖を感じる必要はないのです。著者も日本からアメリカに渡り子育てや仕事をする中で正しい意見を言わないといけないと身構えていたのそうなのですが、このようなことを学んだそうです。

意見は正しいものでも間違いでもないのだと学びました。それはそれぞれが違うように、その人の考え方ですから、正解でも不正解でもないのです。ただ違うだけなのです。違うのは普通ですから、この違いを認めることが対話の基本でもあります。(p.98)

子どもには自由に発言できる環境を用意することが最優先です。時事問題を使って対話の練習をしたり、親子で同じ本を読んだり映画を見たりして感想を交代で話し合うのも良いでしょう
著者の家庭では、相手の話を遮らず最後まで聞く、話している人の目を見るといった対話ルールを設けていたようです。他にも素敵な対話ルールがあるので、詳しく知りたい方はぜひ読んでください!

③表現する「自信」を育む

自己表現力に最も重要なのは「自信」です。過信でも自惚れでもない「自信」を育むために、「認める力(Validation)」「自分を好きになる力」「子どもに完璧を求めない」の3つが大切です。

  1. 「認める力」は子どもに過度の期待やコンプレックスをかけない、一個人として認め自分で選ばせる、褒める時もNOという時も具体的な理由つきで話すなど日々の中で子どもの存在と個性を認めることが一番です。
  2. 「自分を好きになる力」は子どもの得意分野を伸ばす、人前で叱らない、ポジティブなセルフイメージを持たせるということが良いようです。
  3. 「子どもに完璧を求めない」は、ヘリコプターペアレンツにならないよう、子どもをコントロールしようとしないこと。親は子どもの失敗を応援し、自分で何とかできるよう見守るだけで良いのです。

3.心が折れない「回復力(レジリエンス)」を養う

レジリエンスとは、「精神的回復力」や「弾力性」と訳され、「折れない心」などと表現されています。逆境に打ち勝つ強い心は、ストレスやショックに耐えられ、予期せぬ変化に柔軟に対応し、想定外の困難を乗り越えるために必要な力です。社会的成功者になるには必ず必要な力で、今教育界で注目されているワードです。レジリエンスを高めるには、いかに逆境に「向き合う」かが重要です。著者が家庭の中で行っていたことを紹介します。

・心をポジティブに保つ

子どもに1日の終わりにその日の良かったことを1つ成功ノートに書き出すよう勧め、子どもも何年も続けている。また、1日1回は子どもが好きなことをする時間を作っていた。毎朝15分空想をして1日をポジティブな心で始めている

・想像力で選択肢を広げる

アートルームを作り、そこでは汚しても決して叱らない、子どもが自由な発想で使える空間を提供した。

・良好な人間関係を築く

毎晩夕食を一緒に食べ、食事中の会話を楽しむ。子どもにとって家族という安全地帯を確保する。

言葉で言えない愛は態度で伝えましょう。抱きしめる、お誕生日などの記念日は大げさなくらいに祝う、そして大切な記念日は絶対に忘れないなど、そういう時間は子どもが親からの愛情を確かめられるときです。(p.159)

4.その子だけの「長所」を徹底的に伸ばす

子どものパッション(好き)を見つける。子どもの得意な事、「フロー」な状態(周りが見えなくなるくらい集中している状態)を見つけ、全身全霊で応援する。他の誰かよりも秀でる「出る杭」になり、自分の才能や武器を磨く。

その子の持つ能力を最大に発揮するためには、子どもを型にはめるのではなく、その子のパッションを応援することが大切です。そして好きなことに没頭できるから心もポジティブになり、回復力も高まるのです。(p.183)

5.「協働する力」を養う

「協働力」のためには、同じ目標に向かって進んでいるという自覚が必要です。例えば、家族という最小のコミュニティの中で、自分の役割に責任を持ち、協働して生活ができるよう家族ルールを守るのは協働力を養うのに良いです。また、協働力を育むためには、何よりも「共感力」が必要です。
日本人は元々和を重んじ、同一民族で暮らしているため共感力が高いのですが、政治的・文化的背景の違う人、宗教や人種の違う人など多様化社会に適応するにはさらなる共感力が必要です。ボランティアやインターンで社会活動に触れさせたり、本やドキュメンタリーで擬似体験するのも良いでしょう。
著者も本の中で、こう説いています。

一人の勝者を生むのではなく全員で勝つ。それが協働力のスピリットなのではないでしょうか。一人の力でできることには限界があります。ですがいろんな強みを持った多くの人が一つの目的に向かって協働すれば、より大きなことを成し遂げることができるのです。答えのない問題にあふれた現代だからこそ、より大きな挑戦がはだかる現代だからこそ、協働力が必須なのです。(p.209)

まとめ

以上が、『「全米最優秀女子高生」を育てた教育法 世界最高の子育て』をまとめてみたものです。

この本を読んで、子どものパッションを見つけ、いかに口や手を出さずに見守り、辛抱強く才能を伸ばすサポートができるかが大切だと感じました。世界最高の子育て法ということで内容濃く、非認知能力を育むヒントが盛りだくさんでした。
また、アメリカの最先端の教育法と、著者自身や著者のご友人の子育て例が多く紹介されていてとても参考になります。ご家庭で真似できそうなことは黒太字になっていますのでぜひ読み返してみてください。

日本でも2020年学習指導要領改定で「学びに向かう力・人間性」が重要視され、「学力」だけでない「非認知能力」が今まで以上に求められるため、この本は子育てに関わる親のみならず、指導者やビジネスパーソンにも参考になる内容だと思います。ぜひ手にとって読んでみてください!何かヒントになることが書かれていると思います。

今回ご紹介した教育法は科学的根拠に基づいたものではありませんが、一つの考え方として子育ての参考になればと思います。

忙しい育児の中で読む時間が取れなかったり、じっくり本の世界に浸れなかったりしますよね?そんな時にこの記事がお役に立ったら嬉しいです。著者の具体的な家庭での取り組みや子育て方法が記載されており、参考になること間違いなしだと思います。

今後、NOCCでは他の書籍もご紹介していくので、引き続きご参考いただければと思います。
まとめや要約を知りたい書籍がございましたら、ぜひお気軽にコメントください。

書籍情報

書籍名 「全米最優秀女子高生」を育てた教育法 世界最高の子育て
著者 ボーク重子(しげこ)

ロンドンの大学院で現代美術史の修士号を取得後、南仏で出会った夫との結婚を機に1998年ワシントンDCに移住、出産。全米一研究機関の集中するワシントンDCで、「自分で人生を切り開き、どんなときも自分らしく強く生きてほしい」との願いを胸に最高の子育て法を模索する。科学的データ、最新の教育法、心理学セミナー、大学での研究や名門大学の教育に対する考え方を詳細にリサーチし、考える力と心の強さを一緒に育むアメリカのエリート教育にたどりつく。娘スカイを「全米最優秀女子高生 The Distinguished Young Women of America」にした。
2004年ワシントンDC初のアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2年後には米副大統領夫人、美術館や有名コレクターなどVIPが顧客のトップギャラリーに。2006年アートを通じての社会貢献を評価されワシントニアン誌によってオバマ大統領(当時上院議員)やワシントンポスト紙副社長らとともに「ワシントンの美しい25人」に選ばれる。2009年には自身のワークライフバランスのためアートコンサルティング業に転業。2011年にスタートした女性の応援サイトaskshigeko.comは人気ブログとなり、ライフコーチの資格も取得。現在は20年近いアート業界でのキャリアに加え、ライフコーチとして全米、日本各地で子育て、キャリア構築、ワークライフバランスについて講演会、ワークショップを展開中。

発行所 ダイヤモンド社
発行日 2018年2月22日

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です。
いただいたコメントの内容はすぐには公開されませんのでお気軽にどうぞ。非公開をご希望の方はその旨お伝えください。