子どもが反抗する理由は何なのか!?

子どもは、毎日の生活の中でいろいろなことを経験します。特に中学生や高校生は体も心も大人に近づく時期で、学校や家、お友達との人間関係に悩んだり将来のことについて悩んだり、自分自身のことについて悩む時期です。このような多感な時期では、青年の5人に1人が反対、反抗、否定などの感情を持ちます(Balswick and Macrides, 1975)

では、子どもはなぜ反抗期を経験するのでしょうか?今回はそんな疑問に関する論文をご紹介致します。

*専門的な内容になりますので、とりあえず結果が知りたい!という方は「まとめ」まで飛ばしてくださっても大丈夫です!

順向性反抗および反応性反抗の発展的前兆:子育てスタイル、幼年期の逆境および成人期の愛着スタイルの役割

はじめに

今回の論文では「反抗的な行動」は2種類あります。1つ目は興味本位などから「ちょっと悪いことをしてみたい」という気持ちに関係する「順向性反抗」。これは楽しさや興奮を得るために起こす反抗です。2つ目は人に何かを言われたりされたりするときに「それは嫌だ!」と思うことに関係する「反応性反抗」。これは相手に対する不満や失望や拒絶の反応であり、復讐や報復につながるような反抗です(McDermott, 2001, p. 171)

そしてどちらの反抗も「拘束から開放されたい」という気持ちに関係しており、心理的な逆境を経験することが反抗につながるようです。

目的

自分が親から受けた育児スタイル、大人になってからの愛着スタイルと、2種類の反抗との関係を調べること。

方法

参加者

18〜50歳の男女80名(男性45人、女性35人)

手順

参加者には、アンケート小冊子が渡され、調査員の立ち会いのもとで完了する。アンケート小冊子には、次の計測が含まれている。

成人期の愛着尺度(Collins, 1996):親密さとそれを伴う快適感、他人に依存することに対する快適感、必要な時に他人を利用できるという自覚、拒否されることや愛されないことを心配する気持ち。
親の絆手段 (Parker, Roussos, Hadzi-Pavlovic, Mitchell, Wilhelm, & Austin, 1997):子どもの頃に感じた母性と父性の無関心過剰制御と虐待の尺度
子ども時代のケアと虐待の経験アンケート(CECA-Q3)(Smith, Lam, Bifulco, and Checkley, 2002):子どもの頃に感じた父親と母親の反感と無視を測定
ネガティビズム支配スケール(NDS-18)(McDermott, R. ,1988): 順向性反抗および反応性反抗に対する現在の傾向を測定。

結果

父親の虐待的な育児スタイル(p=.002**)、父親の無関心な育児スタイル(p=.006**)、父親の無視(p=.05*)、父親の反感(p=.05*)が順向性反抗に関係することがわかりました。

母親および父親の無関心な子育てスタイルは、反応性反抗と関係する(いずれもp=.02*)ことがわかりました。

まとめ

「ちょっと悪いことをしてみたい」というような楽しさや興奮を得ることに関係する種類の反抗は、父親の虐待的な育児や子どもに対する無関心、無視、反感と関係していることがわかりました。

また、人に何かを言われたりされたりしたときに「それは嫌だ、やりたくない」というように、人に対して不満を持ち、報復につながるような種類の反抗は、母親や父親からの無関心な態度と関係することがわかりました。

ちょっとしたいたずらにしろ、反発心にしろ、大人になってもそれが続いていると人間関係でトラブルを起こす可能性が高くなります。上記のように、子ども時代に問題のある子育ての仕方を受けたことが、反抗につながることがわかりました。

私たちは親として、子どもを育てるために一生懸命努力しています。課題に直面し、時には間違いを犯すことがあります。子育ては決して簡単ではないことが理解されています。しかし、私たち親からの若い頃の子どもたちへの扱い方が、子どもたちの長い人生の幸せに影響を与える可能性があることを知ると、より慎重に子どもたちの扱い方を考えるでしょう。

子どもたちに反抗された時の心境は複雑で、辛い経験であったと言えます。しかし子どもが反抗するということは、子どもたちが日々成長していく中で、自分の考え方が芽生えていっている証拠だとも言えます。そういった考えを持っていれば、反抗した子どもに対して納得できたり、その時の親自身の行動に反省できたりすると思います。子どもに対してより合理的で温かく接することで、今以上にお互いの繋がりが深くなることを願っています。

参考文献
Mcdermott, M., & Barik, N. (2014). Developmental antecedents of proactive and reactive rebelliousness: The role of parenting style, childhood adversity, and attachment. Journal of Motivation, Emotion, and Personality: Reversal Theory Studies, 2(1), 22-31.

引用文献
Albers, A. B., & Biener, L. (2002). The role of smoking and rebelliousness in the development of depressive symptoms among a cohort of Massachusetts adolescents. Preventive medicine, 34(6), 625-631.
Apter, M. J. (2001). Motivational styles in everyday life: A guide to reversal theory. American Psychological Association.
Balswick, J. O., & Macrides, C. (1975). Parental stimulus for adolescent rebellion. Adolescence10(38), 253.
Collins, N. L. (1996). Working models of attachment: Implications for explanation, emotion, and behavior. Journal of personality and social psychology, 71(4), 810.
Parker, G., Roussos, J., Hadzi-Pavlovic, D., Mitchell, P., Wilhelm, K., & Austin, M. P. (1997). The development of a refined measure of dysfunctional parenting and assessment of its relevance in patients with affective disorders. Psychological medicine, 27(5), 1193-1203.
Smith, N., Lam, D., Bifulco, A., & Checkley, S. (2002). Childhood experience of care and abuse questionnaire (CECA. Q). Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology, 37(12), 572-579.

ABOUTこの記事をかいた人

Cheah

母国はマレーシアで、日本に留学し薬学部を卒業した後、薬剤師として15年働いていました。アメリカに12年間住んだことがあり、日本には13年住んでいます。 子どもが3人と孫が1人います。今までの子育て経験を生かした記事を書きたいです。

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