子どもが高校2年生に!親は子どもの進路選択にどう関わったらいい?

高校2年生くらいになると卒業後の進路を具体的に考え出す時期ですよね。みなさんは高校生の時、進路相談を誰によくしていましたか?
2020年2月に公開された、高校生とその保護者を対象にした調査によると、男子高校生の相談相手トップは母親(83.5%)、2位が父親(52.0%)、3位は友人(41.0%)だったようです。また、女子高校生の相談相手トップ母親(88.3%)、2位が友人(53.5%)、3位は父親(38.6%)のようです(第9回「高校生と保護者の進路に関する意識調査」一般社団法人全国高等学校PTA連合会・株式会社リクルートマーケティングパートナーズ合同調査)。

男女ともに母親が突出していますね!複数回答なので母親だけに相談しているというわけではないのですが、たしかに私も進路相談相手の中に母親は入っていたと思います。今回は、大学への進路を選択するときの親の関わり方が、進学後の大学生活への満足度にどう関わるのかについて調査した論文をご紹介致します。

ではご紹介します!

大学への進路を選択する時の親の関わり方が、進学後の大学生活への満足度にどう関わるか

目的

高校の時に進路を親子でどのように決めたかということが、その後の自立や適応にどのように関連するかを調べること。

結果概要

親の関与があったとしてもなかったとしても、子どもが自分で進路を決定したと思えることが、大学生活への満足度につながることがわかりました!
さらに自分で進路を決定することは、「親の言いなりになった」と子どもが感じないようにすることができる上に、自分の判断に責任を持つ力を高めることもわかりました!!

方法

参加者

地方国立大学の大学生188名のうち欠損値のなかった180名(男性70名、女性110名、平均年齢20.65歳)を採用。

質問紙の内容

進路の決定をしたときに①親が関与したか、②自分で決めたか。
親に頼っているか
④親の言うとおりになりやすいか。
自分で考えて行動できるか。
⑥自分の個性や能力を生かしたいか。
人と協調できるか。
大学生活は楽しいか。
⑨初めての人でもすぐ打ち解けられるか。

具体的な内容は以下になります。

*専門的な内容になりますので、とりあえず結果が知りたい!という方は
まとめ」まで読み飛ばしていただいても大丈夫です!!

大学進学時の進路選択における親の関与と進学後の自立および適応との関連

調査内容

・進路選択における①親の関与・②自己決定
(a)「進路の決定をおこなうとき、あなたの親はどの程度その過程に関与してきましたか」という質問に対して、全く関与してこなかった(1点)〜かなり関与してきた(8点)の8段階。
(b)「今の学部・専攻をあなたはどの程度自分で決定しましたか」という質問に対して、自分では決定していない(1点)〜自分で決定した(8点)の8段階。
(「高校生の時に」と前置きをした上で実施。)

・親からの自立
親への依存
久米(2001)の依存性尺度の下位因子「依存欲求」12項目から、親を対象とした場合に不自然な項目を除いた8項目に対して、あてはまらない(1点)〜あてはまる(5点)の5段階。
(「何かをするときは、親に励ましてもらいたい」など。)
親への服従
小高(2000)の親ー青年関係尺度の下位因子「親への服従」5項目に対して、あてはまらない(1点)〜あてはまる(5点)の5段階。
(「親の言うことにいつも従っている」など。)

・精神的自立
福島(1992)の精神的自立尺度の下位因子「主体的自己」7項目、「判断・責任生」6項目と、追加した「他人の意見に従って行動してしまう」という1項目に対して、あてはまらない(1点)〜あてはまる(5点)の5段階。(「困ったとき、なるべく人の助けを借りずに自分で判断する」など。)
福島(1992)の社会的自立尺度の下位因子「協調性・社会的能動性」14項目から「協調性」に関わる8項目に対して、あてはまらない(1点)〜あてはまる(5点)の5段階。(「意見の違う人とも協力し合える」など。)
以上の結果を因子分析し、以下を採用。
判断責任性:「自分のことは自分で判断する」など6項目
主体的自己:「私なりの個性を尊重したい」など7項目
協調性:「周りの人ともうまく協調していける」など7項目

・大学生活への適応
大学生活満足度
高橋・青木(2010)の児童生徒用生活充実感尺度8項目を大学生活の充実感を測るものに訂正したものに対して、あてはまらない(1点)〜あてはまる(5点)の5段階。
(「大学生活がすごく楽しいと感じる」など。)
対人不安
鈴木・山口・根建(1997)の早稲田シャイネス尺度の「対人不安」に関する5項目に対し、あてはまらない(1点)〜あてはまる(3点)の3段階。

結果

親の関与は、親への依存と親への服従に正のパス判断責任性に負のパスを示した。
自己決定は、親への服従に負のパス判断責任性と大学生活満足度に正のパスを示した。
また、親の関与と自己決定の交互作用が、大学生活満足度に負のパスを示して、自己決定が高い場合には親関与は有意な影響を持っていないのに対し、自己決定が低い場合は親関与が満足度を高める効果を持っていた。
対人不安へのパスはいずれも認められなかった。
性差に関しては、親への依存は女性の方が、主体的自己と判断責任性は男性が高かった

論文内のFigure1.親の関与及び自己決定と親からの自立、精神的自立、大学適応との関連。をもとに独自に作成。(**p=.01, *p<.05)

まとめ

親が関わるにしろ関わらないにしろ、子ども自身が自分で進路を決めた、と思えることが大学生活の満足度につながるのですね(^^)

たしかに、私自身どこの大学に行くか、そこでどの学部、学科を選ぶかは自分で決めました。大学生活は基本的に楽しかったし、後悔したこともありません。そして、「自分で決めたからにはしっかりしなければ!」とか「せっかくなら楽しまないと!」とか思って、自分なりにですがあれこれいろんなことにチャレンジしていたような気もします。

「親が関わるにしろ関わらないにしろ」ということなので、とにかく「子ども自身が、自分で進路を決めた」ということが一番重要そうですね!ただし、お子さんが自分で決めることができず困っている時は、放任せず積極的にサポートしてあげた方が良いようです!

冒頭でご紹介したように、大学を選択する時、誰に相談するかについては男女ともにトップは母親です。父親も3位以内には入っています。ということは親は関わらざるを得ないようです。お子さんが相談をしてきたときにはサポートしてあげてくださいね。

子ども自身が「自分で決めた」と思えるような関わり方をした上で、充実した大学生活を送ってもらいたいですね(^^)

(引用文献)
奥村弥生, 森田愛望, & 青木多寿子. (2019). 大学進学時の進路選択における親の関与と進学後の自立および適応との関連心理学研究, 90-17343.

ABOUTこの記事をかいた人

Yoshino

個別指導塾と集団指導塾で、主に中学受験・高校受験の英語と国語を担当してきました。 世の中の子育てに励む全ての親御さんたちが笑顔になるような記事を書いていきたいです!!

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