みなさんこんにちは♪
今回は、児童精神科医である佐々木正美先生の『子どもの心の育て方』という書籍をご紹介します♪佐々木先生は、大学病院の児童精神科や小児科、子どもの福祉施設や地域医療福祉施設で50年余り子どもたちと接してきました。
子育ては何歳からでもやり直すことができるそうです。もちろん、1~3歳がきわめて重要だと書いてありましたが、必要なものはやり直しも学習もできるのだそうです。
子どもの心を育てるには、どのようにしたらいいのでしょうか?
以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。
子どもの心の育てかた
乳児・幼児期には
自分の意志と選択でものごとを決定できるように上手に援助されて育った子どもは、自分の住む世界や自分自身に対して善の感覚をもつ。
うまくいったときだけ褒めるのではなく、ふだんからかわいがる。
いつでも、どんなことをしてもお父さんとお母さんは「あなたのことが大好きなのだ」ということを繰り返し伝え続けてあげることが大事。
長所をできるだけたくさん指摘してあげる。短所・欠点はそのあとからほんのちょっぴり。
たとえば、ちらかし放題の子どもは親から見たら短所だけど、うんと元気で集中して遊べるという長所を持っている。
常に長所短所は表裏一体である。
「叱られてもすぐに忘れる」のは幼児期の子どもの大きな長所。叱っても同じことをする、と嘆くことはない。その子がなによりも健康に育っている証拠。
子どもが望むことは、親から見たら危険で役に立たないことで体に悪いことかもしれないが、本当に危険なことや他人に大きな迷惑をかけること以外はなんでもやらせてあげたらいい。
子どもの反抗は喜ぶべきもの。反抗が終われば主体性のある人格の成熟が見られるし、成熟の前の嵐が大きいほど飛躍的な成長が待っている。
友だちをたくさん家によび、友だちの家にもたくさん遊びにいくことが大事。自分の家では自分がリーダー、よその家ではそこに従うということの中で子どもは学ぶ。友だちとの共同作業や遊びを通じて協調性や共感性、競争心、勤勉さを身につけていく。
勤勉さとは、仲間の中で何かの役割を果たそうと努める姿勢のこと。ものごとに勤勉に取り組むことを教えるのが、幼児教育の仕上げの部分。
児童期には
学校の休み時間や放課後は、勉強よりも人間としてもっと大切な感性や感情を育てるための貴重な時間。子どもたちは自ら休み時間や放課後に学び合うことができる。
家庭や学校で人と一緒に楽しんだり、人が悲しんでいるとき一緒に悲しんだりするなど、人と共感する心が育つことで子どもは尊敬や感謝という感性を獲得する。その感性があってこそ、「自立」や「オリジナリティ」が生まれる。
受験のためにきびしい偏差値教育の環境のなかにいたとしても、親が家庭でその子がもっている多様な価値をしっかりと認めて育てていけば問題にはならない。
人にとってもっとほかに大事な物はたくさんあるのだと教える。
青年期には
思春期になると性的な衝動が高まり身も精神的にも大きな変化、成長、変動がある。そのときに大きな反抗期がやってくる。思春期の反抗は、反抗期の総仕上げのようなもの。したがって、一番大事で、大きなものになる。
周囲の人々のなかで自分の存在の意味や適性を必死で探るのが思春期。この時期に常識的な価値観の中でじゅうぶんな評価、好意的な反応を得られないと自己像は形成されない。ずっと鏡を見ているのも、恋愛に夢中になるのも必要なことである。
共通して
この世でもっとも純粋に近い愛情は、親が子どもを思いやる気持ち。本当の愛情というのは、ただひたすら相手の幸福を願う感情。
ただただ、子どものことを思い夜泣きがつづいても、好き嫌いが激しくても勉強が嫌いでも、言うことをきかなくても、心配しながら見守り、「なにかしてやりたい」と思う気持ちがこの世でもっとも純粋な親の愛情。
自主性、主体性、自身、豊かな感性、感謝する心、共感できる力、尊敬する気持ち、創造性はすべてつながっている。
すべてを健全に育てるには、小さなときにじゅうぶんに親に依存する経験を与えてやり、子どもを心から安心させてあげることが大切。
しかし、乳児期にやり忘れたから「手遅れ」などということはない。何歳からでもやり直すことはできるし、そうしなければならない。
まとめ
以上が、『子どもの心の育てかた』をまとめてみたものです。
散らかし放題の子どもを「うんと元気に集中して遊べる」と表現していたのは素敵だと思いました。
確かに、短所と長所は表裏一体ですよね。注意散漫なことと、好奇心旺盛なこと。気が弱いことと、相手の気持ちを優先できること。頑固なことと、意思が強いことなど。
叱られてもすぐに忘れることができるのも長所だとありました。見方を変えて、いい面として見てあげることで、長所として伸ばすことができますね♪
乳幼児期や児童期では、親がたくさんかわいがってあげることと、お友だちとたくさん遊ばせてあげることが大事なのだということがわかりました。
青年期における反抗期はとっても大事なようですね。今まさに悩んでいらっしゃるお父さん、お母さんも多いと思います。以前の職場でも、子どもの反抗期に悩んでおられるという話をよく聞きました。「やっときたな」と喜んであげるくらいでちょうどいいそうです。
今反抗期の子どもたちは、自分が他人からどう見られているのかを必死で模索しているのですね。
また、この世で一番純粋な愛情が親の愛情であるというところも素晴らしいと感じました。
子どものことを愛しているからこそ、心配しすぎてつい口うるさく言ってしまったり、子どもが喜んでいる姿を見てそれ以上に喜んだりするのだと思います。
6年生の中学受験クラスを担当していたとき、夏ごろから入試にかけては、子どもよりもお母さんの方がはらはらして、そわそわして、どきどきして、ということはよくありました。どう声をかけたらいいのか、これでよかったのか、親としてしっかりできているのか。手探りのまま毎日一生懸命、子どものことを考えているのだと思います。
親の愛情は偉大です。
他にも母性や父性について、共働きでも母子家庭でも父子家庭でも、どんな家族の形でも健康な関係は築けるのだということも書かれてありました。子育てに悩んでいるお父さん、お母さんにそっと寄り添ってくれるような気持ちになれる一冊です。ぜひ手にとってみてくださいね♪
今回は子どもの心を育てる方法をご紹介しましたが、これは科学的根拠に基づいたものではありません。
ですが、一つの考え方として子育ての参考になればと思います。
今後、NOCCではほかの書籍などもご紹介していくので、いろんな角度からご参考いただければと思います。
なお、この記事は2018年9月10日に公開されたものです。ずっとお子さんと家にいる中で、いつもと違う世の中にストレスを感じやすくなっていると思います。佐々木先生の書籍のような、心温まる書籍を読んでみたり、これを機にお子さんとしっかりと向き合ってみたり、小さなことや些細な心がけも大事にして、少しでも快適に毎日が過ごせますよう祈っています。
↓書籍情報
書籍名 | 子どもの心の育てかた |
著者 | 佐々木 正美(ささき まさみ) 児童精神科医。1935年、群馬県生まれ。 新潟大学医学部卒業。 ブリティッシュ・コロンビア大学児童精神科、 東京大学精神科、小児療育相談センター、 川崎医療福祉大学などで子どもの精神医療に従事。 専門は児童精神医学、ライフサイクル精神保健、 自閉症治療教育プログラム「TEACCH」研究。 糸賀一雄記念賞、保健文化賞、朝日社会福祉賞、 エリック・ショプラー生涯業績賞などを受賞。 『子どもへのまなざし(正・続・完)』(福音館書店)、 『TEACCHプログラムによる日本の自閉症療育』(学研教育出版)、 『あなたは人生に感謝ができますか?』(講談社)、 『どうか忘れないでください、子どものことを。』(ポプラ社)など、 育児、障害児療育に関する著書多数。 |
発行日 | 2016年7月30日初版発行 2018年3月30日13刷発行 |
発行所 | 株式会社河出書房新社 |
コメントを残す