どんな種類の食べ物に幸福を感じるのか!?

みなさんは「健康的な食事」と聞いて何を想像しますか?多くの方が野菜や果物をあげると思います。では、ケーキや唐揚げは?甘いものや揚げ物などカロリーの高いものは体に良くないイメージがある方も少なくないのではないでしょうか。

今回は、これらの食品を含めたいろんな食べ物を食べて、その瞬間に感じた幸福度について調査した論文をご紹介します。

甘いものや揚げ物は野菜や果物より幸福度が高くなるのでしょうか?
ではご紹介します!

*専門的な内容になりますので、とりあえず結果が知りたい!という方は「まとめ」までとばしていただいても大丈夫です!!

健康食品の選択は幸せな食品の選択:スマートフォンベースの評価を使用した実生活サンプルからの証拠

目的

日常生活での食事行動を調査し、その場で食事の瞬間に感じた幸福を調べること。

方法

参加者 

38人(18〜48歳、平均年齢24.47)

調査内容

集まった参加者は、スマートフォンを利用して食事の直前に食事の種類を示し、食事の写真を撮り、食事の主な主要成分の説明をするよう指示されました。調査機関は8日間でした。

食事の種類は朝食、ランチ、アフタヌーンティー、ディナー、スナックの5つでした (表1参考)。
各食事の後、参加者は、(1)食事をどれだけ楽しんだか、(2)食事にどれほど満足しているか(3)食事はどれだけおいしかったかを1〜100のスケールで評価しました。 

使用された全ての食品は、ドイツの栄養データベース(ドイツ語:Bundeslebensmittelschlüssel)に基づいた14の異なる食品カテゴリに従って分類されました (表1参考)。その後、参加者が提供した食品の写真とその主要成分の説明は、訓練を受けた評価者によってコーディング(暗証化)されました。


表1.食事の種類と食品のカテゴリ別の幸福度の記述統計 (Deborah R. Wahl et.al (2017)のFigure1に基づいて作成)

結果

 研究期間中に、合計1,044件の食事が報告されました。 食事の幸福度の平均はM =77.59でした。これは、全体的に食事に対してポジティブであることを表します。 ただし、7.00〜100.00の範囲とSD=16.41の標準偏差で示されるように、食事の幸福度は食事を取る回数によって大きく異なりました

食事の種類の幸福度は高い順に、アフタヌーンティー、ディナー、スナック、朝食、ランチでした

お菓子(M=78.93、SD=15.27)などの「不健康な」食品の選択肢は、果物(M=78.29、SD=16.13)や野菜(M=77.57、SD=17.17)などの「健康的な」食品の選択肢との幸福度に違いはありませんでした

全般として、14の主要な食品カテゴリーの中で、野菜は最も大きな部分を占めました

まとめ

食事をする時に、例えばダイエットであれば食べるものを制限したり、カロリーを計算したりというような方法をとりますよね。しかし実はある研究によると、これらの制限は逆効果で、結果的にリバウンドにつながったり摂食障害のリスクを高めることさえあるようです。そのため、Blockらは「健康としての食べ物」から「幸福としての食べ物」へシフトすること提唱しています。(Block et al,2011)

今回ご紹介した研究では、3つの主な調査結果がわかりました。まず、14種類の食品カテゴリのうち、消費が一番多かったのは野菜でした。次に、健康的な食べ物のイメージである野菜や果物の幸福度は、不健康な食べ物のイメージである洋菓子やお菓子の幸福度とほとんど差がありませんでした。そして、食事の種類において夕食の幸福度は、スナックよりも高いことがわかりました。

私の子どもたちがまだ幼い頃、学校から戻ってきたときに私が与えていたのは、お菓子ではなく豆類や果物や野菜でした。子どもたちはそれらを食べた後、宿題をしていました。その時の子どもたちの幸せで満足そうな表情は今でも鮮明に覚えています。
個人的には食べることに関して重要なのは、「何を」食べるかではなく「誰と」食べるかなのだと思います。大切な人と楽しく食事ができることが、幸福度が高まる秘訣なのかもしれませんね。

日々忙しくて、なかなかゆっくりご飯を食べられなかったり、時間が合わずに家族で一緒にご飯が食べられなかったりすることもあると思いますが、少しでも余裕があるときはぜひ、大切な人たちと幸せな食事の時間を過ごしてくださいね

NOCCでは、今後も子育てに役立つような論文をご紹介していきますので、
ぜひ時間があったらホームページを覗きに来てください♪

参考文献
Deborah R. Wahl, Karoline Villinger, Laura M. König , Katrin Ziesemer, Harald T. Schupp & Britta Renner.Healthy food choices are happy food choices: Evidence from a real life sample using smartphone based assessments.Scientific Report 7, Article number: 17069 (2017))

引用文献
Block, L. G., Grier, S. A., Childers, T. L., Davis, B., Ebert, J. E., Kumanyika, S., … & Pettigrew, S. (2011). From nutrients to nurturance: A conceptual introduction to food well-being. Journal of Public Policy & Marketing30(1), 5-13.

ABOUTこの記事をかいた人

Cheah

母国はマレーシアで、日本に留学し薬学部を卒業した後、薬剤師として15年働いていました。アメリカに12年間住んだことがあり、日本には13年住んでいます。 子どもが3人と孫が1人います。今までの子育て経験を生かした記事を書きたいです。

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