夏休みですが、みなさんのお子さんたちは毎日どう過ごしていますか?
部活や習い事で大忙しな子や、毎日お友達と遊んでいる子、お家のお手伝いに励んでいる子、いろんな過ごし方があると思います。
そして夏休みといえば、宿題。
計画的に進められているでしょうか?私は学生時代は中だるみするタイプで、「計画的に早めに終わらせよう」とはじめはがんばるのですが、最初1週間ほどやって「いい感じに終わりそうやん♪」と思ったら油断してしまい気づけばお盆が明け、結局ぎりぎりに焦ってやってました(笑)
いえいえうちの子はお友達と仲良く計画的に宿題を進められているはず!そう思ってらっしゃる方はいませんか?
それ、返って効率が悪くなるパターンかもしれません!
今回は、友達との学習が、その後の学習の持続性にどう影響するのかについて調査した論文をご紹介します。もう少し具体的にお話しすると、友達と学習している時や後に、「わからんとこ教えてもらってすっきりしたなー」、「今日はしゃべりすぎたなー」、「はかどったなー」など、子どもなりにあると思うのですが、それらの感情がどうやる気につながって、結果的に学習の持続性がどうなるかについて調査しています。
ではご紹介します♪
友人との学習が動機づけ調整及び学習パフォーマンスに与える影響
目的
友人との学習が具体的にどのように行われるかを具体的に捉え、友人との学習が学習者に与える影響について検証。
方法
調査対象者
大学生(1回目は10月末に86名、*2回目は12月中旬に72名)
*2回行ったのは、当初は友人との学習が中心であっても、その影響を受けて学習者が最終的には自身に働きかけるようになり、自身の動機づけを高めるために自己に対して動機づけ調整方略を使用するようになるということを検討するため。
調査内容
動機づけ調整方略尺度(27項目)(梅本,2013)
質問の冒頭には「あなたの学校や家での普段の学習についてお聞きします。学習のやる気が出ないとき、どのようにやる気を出していますか。」と提示。
・自律的調整方略:「学習の内容を自分の興味があることと関連させる」など21項目
・協同方略:「友人と一緒に学習する」など3項目
・成績重視方略:「学習しないと単位が取れないと考える」など3項目
「1.まったくあてはまらない」〜「4.よくあてはまる」の4件法。
友人との学習尺度(24項目)
*予備調査で得られた友人との学習尺度を用いた。
・意図的な協同学習:「友人と教えあうことでわからないことが解決した」など。(良い効果)
・雑談:「話をすぐにしてしまい、雑談がほとんどになる」など。(効果なし)
・他者意識:「友人が分かっているのに、自分が分かっていないと焦ってやる気が出る」「友人との学習への理解度の差にいらいらしてしまった」など。(良い効果と良い効果がなかった場合)
「1.まったくあてはまらない」〜「4.よくあてはまる」の4件法。
*友人との学習がどう行われているかの実態把握及びそれに基づく友人との学習尺度の項目作成。友人との学習の効果やその理由などについての質問に対する自由記述調査。
持続性の欠如尺度(5項目)
学習の持続性を測定する尺度として、下山(1985)の尺度を用いた。
「1.まったくあてはまらない」〜「4.よくあてはまる」の4件法。
学習の持続性を測るために、評定を逆転させて数量化し「学習の持続性」として用いた。
テスト学習時間
2回目調査の実施直後に行われたテストに向けて何時間学習したか。
テスト
質問しとは別に2回目の調査後に行った授業に関するテストで、全40問。
各問は2者択一形式。テスト得点のとり得る範囲は0〜40点。
結果
意図的な協同学習は自律的調整方略を介して学習の持続性に正の影響を与え、自律的調整方略を介さない場合は学習の持続性に負の影響を与える。
雑談と他者意識は成績重視方略を介して学習の持続性に負の影響を与える。
まとめ
①「友達と教えあうことで分からないところが解決したな!」と思えるような勉強の仕方ができていて、かつ学習の内容を自分の興味があることと関連させることができれば、学習の持続性が上がる。しかし、自分の興味に関連させることができなければ持続性は下がる。
②友達と勉強しているとき、「雑談してしまったなー」とか、「友達、自分よりよくできてるなー」とか思っちゃうと、学習の持続性は下がる(;_;)しかも!はっきりとした理由は見つかっていないが、雑談や友達との比較が、「勉強しないと点数が取れなくなる!」といった成績を重視する意識につながって、結果的に学習の持続性が下がる。
という結果がでていました!友達と勉強することが、必ずしも勉強の持続性につながるとは限らないようですね!注意したいところです!!
個人的な詳しい感想はまた次回♪♪
(参考文献:上淵寿, 松村大希, 敦澤彩香. “友人との学習が動機づけ調整及び学習パフォーマンスに与える影響.” 日本教育工学会論文誌 40.Suppl. (2017): 29-32.)
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