前回は、友達との学習が、その後の学習の持続性にどう影響するのかについて調査した論文をご紹介しました。
今回はその論文を読んだ個人的な解釈や感想をお伝えしようと思います。
軽く論文についておさらいすると、まず友人との学習がどう行われているかの実態調査を行い、次に普段学校や家でやる気が出ないときどのようにやる気を出しているかについて調査。さらに学習の持続性と実際何時間学習したかを調べて、分析したようです。
教えあうことで分からないところが分かるようになっただけではダメ!?
1つ目の結果は、友達と学習したことに対して、「教えあうことで分からないところが分かってよかった」と思えるような学習の仕方ができた経験があり、かつやる気のないときに学習の内容を自分の興味があることと関連させることができれば、結果的に学習の持続性は上がるということでした。しかし、先述のような学習の仕方ができても、興味があることに関連させなければ、結果的に学習の持続性が下がってしまうようです。
興味のあることに関連させるような動機づけができなければ持続性が下がる、というところに驚きました!せっかく友達と勉強した時に分からないところが分かってよかった!と充実した気持ちになれたとしても、その後の勉強時間が下がってしまうのは残念ですよね。。
雑談や友達との比較で勉強の表面的なことしか考えなくなる!?
もう1つの結果は、雑談していたり、お友達の勉強の出来具合と自分を比べたりした場合は、「学習しないと単位がとれない!」という動機づけの仕方につながり、結果的に学習の持続性が下がる。
ということなのだそうです。
お友達の方ができるからと嫉妬してしまうとやる気がなくなるのはなんとなく分かる気がします。でも、ここでのお友達との比較は、「自分よりお友達の方ができていて焦った」から勉強することができた、と良い刺激になった場合でもその後の持続性を下げていたので不思議でした。
また、雑談していたなら、例えばそれに対して「取り戻さないと」みたいな気持ちになって勉強を頑張ろうとするような気がするのですが、頑張ろうとするだけで終わってしまうのでしょうか。。。
そして一番不思議だったのが、雑談やお友達の比較をした後に勉強していてやる気がなくなった場合、成績重視方略といって「ちゃんと勉強しないと単位がとれなくなる!」というやる気の出し方をしてしまうことにつながるのだそうです。学習内容ではなくとりあえず「点数を採る」という表面的な見方で勉強してしまうようになってしまうのは良くないですよね。しかも持続性が下がるだなんて。。。
また、「学習しないと単位がとれない!」という動機づけの仕方につながるのも驚きでした。論文でも有効な理由は見つからなかったと述べられています。雑談に関しては「友達としゃべりすぎたなー。。。」→「ちゃんとやらな単位とれないなー」→「でもやる気が出ないなー」という流れになるということなのでしょうか。
じゃあ、どうすれば良い?
以前ご紹介した論文では、授業以外で勉強するためには、学習内容に対して前向きな気持ちが必要だという結果が出ていました。「ちゃんとしないと単位がとれない」というのはどちらかといえばネガティブな気持ちなので今回の論文でも同じ結果が出ていたということかもしれません。
だからまずはポジティブな気持ちで課題に取り組めるような環境や心理状態にしておくことが大切なのではないでしょうか。
学習を持続させるということに対しては、私もいろんな子どもたちを見てきましたがスイッチが本当にばらばらなんです。「一緒にがんばろう」という姿勢を見せるのが良い子や引っ張ってあげた方が頑張れる子、ライバルがいたら頑張れる子や、逆にライバルがいるとやる気がなくなってしまう子。ここでは書き表せないくらい人によると私は思っています。
そしてもう一つ思うのは、個人の中でもその時の気分や状態、どの科目かによってスイッチが違うということです。自分自身もそうなのですが、やる気の出し方は一つではありません。みなさんも何かしらの方法でやる気を取り戻そうとしたことはあると思います。気分転換に場所を変えてみたり、友達と勉強してみたり、「やらなあかん」と言い聞かせたり、いろんな方法をとっていませんでしたか?
また、自分でやる気を取り戻そうとするほかに、周りからアプローチすることでもできると思います。前向きな言葉をかけてあげたり、褒めてあげたり、場所を変えてみたら?と助言してみたりといろいろしてあげられることはあると思います。お子さんが勉強に興味を持って、前向きな気持ちになることでやる気を継続してくれると良いですね。
まとめ
まずはお子さんが友達と勉強して帰ってきたら「どうだった?」と聞いてあげるようにしましょう!
そして、ポジティブなお返事が返ってきたとしても油断は禁物!その後お子さんが一人で勉強している様子を少し見てみましょう。そしてもし、あまりはかどっていないようであれば、お子さんが興味のあることについて話した上で、さりげなく今やっている勉強と結びつけてあげたり、前向きに課題に取り組めるような声かけをしてあげましょう。
きっと、またがんばろうと思って勉強してくれるのではないでしょうか♪
あくまでも個人的な感想ですが、参考にしていただけると嬉しいです(^^)
NOCCでは、今後も子育てに役立つような論文をご紹介していきますので、
ぜひ時間があったらホームページを覗きに来てください♪
(参考文献:上淵寿, 松村大希, 敦澤彩香. “友人との学習が動機づけ調整及び学習パフォーマンスに与える影響.” 日本教育工学会論文誌 40.Suppl. (2017): 29-32.)
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