みなさんは、学生時代、授業以外の学習に熱心に取り組んでいましたか?
また、お子さんは家で積極的に机に向かって学校の宿題や勉強をしていますか?
私は与えられた課題やテスト前の勉強はそれなりにやりましたが、熱心に家庭学習に取り組んでいた記憶はあまりありません。
部活をしたり、友達と遊んだりする方を優先していたような気がします。
小学校の高学年や中学生になってくると反抗期ということもあり、「勉強しなさい!」と言ってもなかなか言うことをきかないお子さんも少なくないのではないでしょうか。
今回ご紹介する論文は、授業外学習やその学習内容に対して、どのような動機づけがどのように学習行動と関係しているかについて検討したものです。
*専門的な内容になりますので、とりあえず結果が知りたい!という方は「まとめ」から読んでいただいても大丈夫です!!
授業外学習における動機づけ調整方略、動機づけ要因と学習行動の関連
目的
動機づけ調整が学習行動に与える影響を明確にするために、動機づけ調整方略、動機づけ要因と学習行動との関連について検討
調査方法
研究参加者と手続き
2つの大学の大学生302名(平均年齢19.83歳、男性123名、女性178名、不明1名)。
2015年7月実施。それぞれの大学の心理学に関連する授業内での質問紙による調査。
調査内容
<動機づけ調整方略>
自律的調整方略 :「学習の内容が将来の役に立つと考える」など
協同方略:「友だちと一緒に学習し、分からないところを話し合う」など
成績重視方略:「学習をしないと単位が取れないと考える」など
*動機づけ調整方略とは、学習中に動機づけが低下した際に自分自身で動機づけを調整する学習方法
<動機づけ要因>
自己効力感:「その気になれば授業外での学習はよくできると思う」など
課題価値:「授業外学習で学ぶ内容は、私にとって大切である」など
<エンゲージメント>
行動的エンゲージメント:「私は授業外で、できるだけ頑張って課題に取り組んでいる」など
感情的エンゲージメント:「授業外学習をしているとき、熱中している」など
<授業外学習時間>
1週間の授業外学習時間
結果
動機づけ調整方略、動機づけ要因と学習行動との関連を検討するための分析結果を以下に示します。
行動的エンゲージメント | 感情的エンゲージメント | 授業外学習時間 | |
自律的調整方略 | 正 | 正 | 正 |
協同方略 | |||
成績重視方略 | 負 | 負 | |
自己効力感 | 正 | ||
課題価値 | 正 | 正 | 正 |
まとめ
以上が論文の要旨です。
ここからは私が個人的にまとめたものになります。
学習している内容が将来の役に立つと感じていたり、授業外学習が大切であると感じていたりするときに、頑張って課題に取り組んだり、熱中していると感じたりするという結果が出ていました。
また、勉強しないと単位がとれない、という気持ちがあると課題に対して頑張ったり熱中したりできないという結果も出ました。
さらに、「学習内容が将来役に立つ」、「その気になれば勉強できる」、「授業外学習が大切である」と感じている時に授業外学習時間が長くなるようです。
授業以外で勉強をするためには、学習内容に対して前向きな気持ちが必要だということですね!これに関しては、本人の捉え方の問題ですが、学校の先生など周りがその課題の重要性や将来どれだけ大切になってくるかを伝えることで、外からアプローチをすることもできそうです。
一方で勉強しないと単位がとれない、と思うと授業外学習時間が減ってしまうようです。子どもに対して「〇〇しないと〇〇できないよ!」という声のかけ方をすることに心当たりがある方は注意した方がいいかもしれません!
なんとなく予想がつきそうな結果なので、納得です!ただ、自分が「当たり前だ」と感じていることに対して科学的根拠が示されたということにとても価値があると思います。
そして驚いたのは、友達との勉強です。「友だちと一緒に学習し、分からないところを話し合う」という動機づけ方略は、今回の論文で有意な結果が出ていませんでした!意外です!
学生たちが一緒に勉強している姿はよく見かけるし、私自身も学生時代は友達とよく勉強していました。
お互い励ましあったり教えあったりすることでモチベーションにもつながりそうでしたが、今回の結果では関連づかなかったようですね。
家で自分から勉強するには、課題に対する捉え方が重要なのだとわかりました!前向きに捉えることで効率よく学習していけるといいですね♪
なお、この記事は2019年2月15日に公開されたものです。今現在お子さんは学校が急にお休みになり、お家で勉強する機会が増えていると思います。ポジティブな声かけをすることでお子さんを机に向かわせてみるのもいいのではないでしょうか♪
NOCCでは、今後も子育てに役立つような論文をご紹介していきますので、
ぜひ時間があったらホームページを覗きに来てください♪
(参考文献:梅本 貴豊・田中 健史朗(2017).授業外学習における動機づけ調整方略,動機づけ要因と学習行動の関連 心理学研究,88,86-92)
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