前回は、家で数学の勉強をしていて分からない問題があった時に、子ども自身が教科書や参考書を効果的に利用するにはどうしたら良いかについて調査した論文をご紹介しました。
簡単に結果をおさらいすると、家庭学習でつまずいた時に答えだけでなく考え方も理解するというような教科書の使い方をするには、
①学校で先生が教科書を使う
②教科書を家で勉強するための道具であると認識する
③教科書を使うことが有効であると認識する
そして、この上で、
④子ども自身が「解き方を知ることが大切だ」と思えている
ということが重要でした。
教科書についての認識が変われば、子どもたちは積極的に使ってくれるようになりそうです♪
ここからは、私が論文を読んで個人的に思ったことを紹介していきます。
お家でできそうなこと
①は学校の先生に積極的に使ってもらうしかないので、②、③、④の流れに関して一つご提案致します。
ご家庭でぜひ、お子さんが勉強しているとき「この問題教えて」と聞いてみてあげてください。そのままやん、と思うかもしれませんが、とっても重要なことだと個人的には思っています。
塾で保護者懇談をしていると、算数が好きな子どものお母さんからたまにこんな話を聞きます。
「学校で習わないようなこと(特殊算など)を塾で教えてもらうのが嬉しいらしく、家で『お母さんこれわかる?』と私に自慢げに説明してくれるんですよー!」と。
これってこの子どもにとってすごく良いことで、相手に説明できるということは自分が「なぜそうなるか」まで理解できているという証拠なのです。私の経験上ですが、個人的に私は塾の先生になってからさらに学力が上がったと思っています。教えているメインの科目である国語や英語もそうですが、今回の論文では数学だったので、数学に関してお話しますね。
個人的に数学の力が身についたと思える根拠は2つ。1つ目は人に説明するためにその問題の意味や答えの理由をしっかりと考えるようになったこと。2つ目は頭の中で考えたことや理解したことをアウトプットしたこと。インプットして理解することはもちろん大切ですが、それだけでは「わかっているつもり」で終わっている可能性があります。そこで、アウトプットすることも深く理解するためには必要です。勉強に限らず、何かを相手に説明して自分の理解が深まったという経験はあるのではないでしょうか。
話を戻して、先程の例は算数が好きなお子さんが、お母さんに自慢したくて自主的に教えようとするケースなので、そういう場合はぜひ聞いてあげて、「すごいね!」と褒めてあげてください。
そして、お父さんやお母さんのほうからも、「教えて」と声をかけてあげてみてください。
もし算数が苦手なお子さんでも、苦手意識を持っているお子さんでも、わかるものが一つもないということは少ないと思います。
そして、小さなことや簡単な問題だったとしても、少しでも説明できたらしっかりと褒めてあげてください。この繰り返しが④につながるはずです。
説明するのが難しかったり自信がなかったりする場合は、一緒に教科書や参考書を開いて、ぜひ手助けをしてあげてください。教科書や参考書を見ながら理解が深まり、説明できるようになったという経験の積み重ねが②と③につながっていくのだと思います。
まとめ
子どもは素直で、おそらく理解できると嬉しく感じ、わからないと苦手意識につながります。そして苦手意識を持ってしまうとなかなか前向きになってくれません。得意であっても不得意であっても、少しずつ成功体験を繰り返し、子ども自身の「やったぁ!」が積み重なれば、前向きになってもっともっと成長してくれるのではないでしょうか(^^)
そして実は、この論文の著者さんはすでに、つまずいた時に教科書を見返すという学習方法の使用と、「人に説明できる状態が理解した状態である」という意識を促すことに関する研究をして、学術論文として採択されているようです!このように、教科書の内容を説明させることに着目した論文もあります(^^)インターネットでも公開されていますので、興味のある方はぜひご覧ください♪今後記事でもご紹介できたらと思っています(^^)
お子さんの得意がどんどん伸びて、苦手が少しでもなくなりますように。
(引用文献)
福田麻莉(2017).家庭学習のつまずき場面における数学の教科書・参考書の自発的利用 教育心理学研究,65,346-360.)
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