新型コロナウイルスを心配している子どもに親ができること①

新型コロナウイルスが流行している今の状況の中で、お子さんにどのように声をかけてあげたらいいのか悩んでいる保護者の方々も多いと思います。

そこで、英国のオックスフォード大学とレイディング大学の研究者によって書かれた『新型コロナウイルスを心配している子どもや若者の支援ガイド』から、お子さんへの関わり方について2回に分けてご紹介したいと思います。今回は親が子どものためにできることや関わり方について、次回は子どもと話すときの具体的なポイントについてです。

ではご紹介します。

『新型コロナウイルスを心配している子どもや若者の支援ガイド』(前半)

1.親自身の心を整える

このガイドラインで真っ先に出てくるのが『親自身の心を整える』です。

このような状況では、どうしても不安になったり心配になることが多くなりますよね。ただ、親自身の不安や心配が過剰になりすぎてしまうと、余裕がなくなってしまい、子どもに思うように関われなくなることも…。

そのために、まずはご自身の心を整えてみましょう。このガイドラインで紹介されているHPより、以下に心を整えるのに役立つ4つの方法を紹介します。

①コロナウイルスに関連するニュース、ネットやSNSを見る回数・時間を計画的に決める(1日1~2回にする、特定の時間帯に見るなど)

今はどのテレビ番組、ネットやSNSにおいてもコロナのニュースが多いですよね。
ですがこれらを見れば見るほど、また検索すればするほど、心配や不安、考え事がたくさん出てきてしまいがちです。
なのでたくさんの時間をこれらに費やすのではなく、見る回数や時間を決めて見るのが推奨されています。

TwitterやFacebookの通知はオフにしたり、不安になってしまう情報を多く発信するアカウントは一時的にミュートしたりして、SNSを見る回数を制限することも一つの手です。

②人とのつながりを大事にする

今はどうしても不安になったり心配になってしまうことが多いですよね。
そんな時は信頼できると思う人に電話やSNSなどを使って相談するのも一つ。
その時は、誰に話したいか(あなたの不安をあおらない人、傷つくようなことを言わない人)を考えて、相手も自分も落ち着いて話せる時間・場所で話してみてください。その際は、相手への感謝も忘れずに。
不安な気持ちについて話さなくても、仕事上の連絡や日常的な会話でも効果的です。
「自分は物理的に人と会えなくても一人じゃない」という感覚を味わえるととてもいいですね!

③体調管理する(規則的な食事、十分な睡眠、適度な運動など)

ストレスがかかるとどうしても食事や睡眠が乱れやすくなります。また運動不足にもなりやすいですよね。ですが規則的な食事、十分な睡眠、適度な運動は体と心の健康を維持するためにとても大事なことです。間食を増やさずにご飯をしっかり食べる、夜寝る前にコロナについて調べずにベットに入る、適度に体を動かすことを意識してみてください。Youtubeなどを使って自宅でできるトレーニングすることなどもおすすめです。

④気分転換できることをする

外出が制限されて心配や不安は増える一方なのに、楽しいと思えることができなりますよね。そこでおすすめなのは、気分転換できることを探してみること。家にいる時間が長くなった今だからこそできること(片付け、料理、絵画、映画鑑賞、読書など)をしてみるのもおすすめです。

もし忙しくて手が回らない場合は、いつもの習慣(起床時間、入浴、食事など)を守ることを意識してみてください。これらの習慣を守ることもご自身の健康に繋がります。

2. 子どもの健康的な習慣を守る

可能な範囲で子どもの日常の習慣(食事、睡眠、勉強、遊び、休憩など)は継続するようにしましょう。
このような習慣を守ることは子どもたちに安心感を与えるのに役立ちます。Youtubeなどを使って室内でできる運動を促すのもおすすめです。

3. 子どもの不安や心配を維持してしまう行動に注意する

このような時期に子どもが陥ってしまいがちで、長期的にみると、子どもの不安や心配を維持してしまうかもしれない行動がいくつかあります。

注意すべき子どもの行動

  • 物事を回避する(それまで一人でできていたのに親と一緒でないとできなくなる)
  • 引っ込み思案になる
  • ネットを使って検索ばかりする
  • 長い時間心配や不安なことについて話すのに費やす
  • 危険性についての警戒を解かない
  • 頻繁に確認する(最新のニュースを頻繁にチェックするなど)
  • 何かの行動をするよりも頭の中で多くのことを考える
  • 必要以上に頻繁もしくは念入りに手を洗う

これらの行動が子どもに出てきたら、これらの行動が長期的に見て子どもの役に立つのかを子ども自身が考えられるように、後述する「子どもへの声掛けを振り返る」や次回ご紹介する「不安・心配について話す」に書かれていることを意識してあげてください。

4.子どもへの声掛けを振り返る

子どもは親の行動を見て何を心配すべきか、そして心配事にどのように対応すべきかを判断しています。そのため子どもとの会話の中で、この不安な状況についてどのような声掛けをしているのか意識してみましょう。

これは、親の不安は隠す必要があると言っているわけではありません。むしろ逆に、
一定の不安やストレスを感じることは普通のことであると認めたうえで、親がどのように対処しているのかを伝えつつ、子どもがどのように対処するのかを考えるよう声掛けをすることが大切です。
(例:「私が心配な時には友達に電話してみるかな。あなたもお友達に電話してみるのはどうかな?」)

大人も心配になることを伝えるのは問題ありません。ただ大人が完全に参ってしまっているのを見ると、子どもはさらに恐ろしく感じたり、自分の心配を親に伝えることが難しく感じたりするかもしれません。なので心配になっていることに対して自分なりに対処している、という姿を見せてあげられるといいですね。

5.心配なことについて話す

子どもが心配したり気にしていることを話したり、聞いてあげたりする時間を取ってあげましょう
ただし、子どもたちは話がしたいというそぶりを見せないことがあるので、サイン(たとえば普段よりも親の近くにいるなど)を見逃さないようにしましょう。

6.いつ話をするか?

子どもの心配がわき上がってきたときに、子どもと話せればとても良いでしょう。ただ、それはいつでも可能なわけではありません。
重要なのは、子どもと親がストレスなく話ができる時(忙しくない、もしくは疲れていない時)に話をすることです。

眠る直前に話すのは避けた方がよいです(布団に入ってからも考え込んでしまう可能性があります)。もし子どもの心配が眠る前に増えているようであれば、「その心配なことは前から聞いているし、心配なことについて一緒に話したいと思っている」と伝えた上で、別の時に話をすることを約束します(そしてその約束を守ります)。
そうすることで、もしかしたら子どもは、心配にとらわれる代わりに頭を切り替えられるようなことを思いつくかもしれません。

まとめ

コロナウイルスを心配している子どもたちに関わるときには、まず親自身の心を整えることがとても重要になってきます。親の気持ちが少し落ち着いたら、子どもたちの日常的な習慣(睡眠、食事、遊び、休憩)をできる範囲で守ってあげてください。

ガイドラインに真っ先に紹介されているのは、親の心と体を整えることでした。一生懸命な親御さんほど、ご自身のことを後回しにしてしまうと思います。お子さんのためにも、ここで紹介したことを試して親御さんご自身の心と体を整えてみてください。

今回は、『新型コロナウイルスを心配している子どもや若者の支援ガイド』から親が子どものためにできることや関わり方についてご紹介しました。次回は子どもと話すときの具体的なポイントについてご紹介します!!

なかなか落ち着かない時期続きますが、このガイドラインがお子さんと親御さんのお役に立てるよう祈っています。

NOCCでは、今後も子育てに役立つような論文をご紹介していきますので、ぜひ時間があったらホームページを覗きに来てください♪

参考文献:Waite, P., Button, R., Dodd, H., & Creswell, C. (2020). Supporting children and young people with worries about COVID-19. Universities of Oxford and Reading.

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