難しくて諦めた勉強へのやる気を取り戻すには?②

みなさんこんにちは♪

以前ご紹介した論文では、課題の中に解けない問題がいくつかあると諦め行動を起こし、それによって自己効力感も低下するし、取り組み時間も短くなる!という結果が出ていました。

では、諦め行動を繰り返した後、どのような介入をどのタイミングでやれば、持続性の低下を防ぐことができるのか!?

興味深い結果が出ているのでお楽しみに(^^)

*専門的な内容になりますので、とりあえず結果が知りたい!という方は
まとめ」まで読み飛ばしていただいても大丈夫です!

課題への取り組みの持続性に及ぼす諦め行動と介入のタイミングの影響

実験2

目的

諦め行動を重ねた後のタイミングで、自己効力感を高める介入を行うことで、持続性の低下を防ぐことができるかどうかを検討。

方法

実験参加者
実験1に参加していないA大学の学部生・大学院生74名

実験課題
実験1と同じ

参加者は、解決方略を提示するタイミングについて3つの群に分けられた。
問題前介入群課題の開始前に解決方略を提示
途中介入群:不可能問題を含む課題前半の取り組み後に解決方略を提示
統制群:解決方略を提示しない
不可能問題は全ての群で前半に3問(5問目、10問目、16問目)、後半に1問(32問目)

調査内容
自己効力感
実験1と同じ

解決方略
・「2文字目と3文字目、1文字と4文字のように分けて、単語ができないかを考えた
・「思いつくまま。試しに解答欄に並び替えてみて、新しいひらめきがないか試した
*「過去の実験で正答率が多かった人が使用していた方略である」と説明して提示。

結果

統制群に比べて、問題前介入群と途中介入群の正答数が多かった。(提示した解決方略は有効
統制群に比べて、開始前介入群と途中介入群の取り組み時間が長かった。解決方略の介入は有効

<開始前介入群>
5問目と10問目に比べて、32問目の取り組み時間が短かった
途中介入群と統制群に比べて、10問目の取り組み時間が長かった
統制群に比べて、16問目の取り組み時間が長かった
SSE-relativeでは、途中介入群に比べて得点が低かった
SSE-totalSSE-absoluteでは、事前に比べて、中間と事後の得点が低かった
SSE-totalSSE-absoluteでは、途中介入群と統制群に比べて、事前の得点が低かった

<途中介入群>
10問目と16問目に比べて、32問目の取り組み時間が長かった
開始前介入群と統制群に比べて、32問目の取り組み時間が長かった
SSE-totalでは、中間に比べて、事前と事後の得点が高かった。また、開始前介入群と統制群に比べて、事後の得点が高かった
SSE-absoluteでは、中間に比べて、事前と事後の得点が高かった。また、開始前介入群と統制群に比べて、事後の得点が高かった

<統制群>
5問目に比べて、32問目の取り組み時間が短かった
SSE-totalでは、事前に比べて、中間と事後の得点が低かった
SSE-absoluteでは、事前に比べて、中間と事後の得点が低かった

まとめ

諦め行動を重ねた後でも自己効力感を高めるような介入を行うことで、持続性が向上するということがわかりました!
また、今回の実験における自己効力感を高めるような介入は、どうすれば問題が解きやすくなるのかという、問題を解く時の考え方でした。

ここで気をつけたいのが、介入のタイミング。

課題開始前に介入を行うと、最後の問題(今回で言えば32問目)の持続性が低下していました。もちろん、前半の取り組み時間は増加していたので、介入の効果はあるようです!でも、自己効力感は低下。これは予測していなかった結果らしく、「課題開始前のタイミングで方略の使用を促す教示を行ったことで、課題がより複雑なものと認識され、自己効力感が低下した可能性がある」と考察にもありました。

確かに、出された課題に対して先にヒントや解き方のようなものを提示されると「難しいのかなぁ?」と身構えてしまうところはあるのかもしれません!

一番効果的かなと感じたのは、諦め行動を重ねた後の段階で介入を行うというタイミング。
これだと、最後の問題の取り組み時間が増加してました。つまり、諦めを重ねて、「もういやだー」ってなったとしても、ヒントや解き方などのアドバイスを受けることで、「もう一回がんばろうかな」と前向きな気持ちになるし、実際に取り組む時間も長くなる!ということですね♪

塾で子どもが勉強している姿を見ていると、手が止まっていたらついついすぐに「大丈夫?」と聞いてしまってヒントを出してしまいます。が、今回の結果を見て、子どもの手が止まっていても一旦我慢して、できるだけ考えさせて、「もう無理だー」ってなったタイミングでヒントを出すのも効果的なのかなと思いました♪

みなさんもぜひお子さんにヒントや解き方を教えるタイミングを考えてみてくださいね(^^)
効果的な介入を行うことで、お子さんもきっと頑張ってくれるはず♪

なお、この記事は2019年8月9日に公開されたものです。家でしか勉強できないと、気分転換に場所を変えて勉強するということがなかなかできなくなってしまいますよね。そうなると集中力も下がって「いやだー」ってなりやすくなるのではないかと思います。お子さんがちょっとでも前向きに勉強できるように、声かけをする保護者の方がちょっとでも楽になりますように祈っています。

NOCCでは、今後も子育てに役立つような論文をご紹介していきますので、
ぜひ時間があったらホームページを覗きに来てください♪

(参考文献:市村賢士郎・楠見孝(2018).課題への取り組みの持続性に及ぼす諦め行動と介入のタイミングの影響 心理学研究,90,1-10)

ABOUTこの記事をかいた人

Yoshino

個別指導塾と集団指導塾で、主に中学受験・高校受験の英語と国語を担当してきました。 世の中の子育てに励む全ての親御さんたちが笑顔になるような記事を書いていきたいです!!

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