「女子は数学が苦手である」は本当なのか?

「女子は数学が苦手である」って話を聞いたことはありませんか?「あっ、私もそうだったな」とお思いの保護者の方もおられるかもしれません。

これは実際のデータとして「女子は男子に比べて理系に進む割合が低い」ことなどからもよく言われています。これまでの科学者は、その原因を男女の生物学的違いによるものだと唱えてきました。

しかし、実はそうではなく、「女子は数学が苦手である」という思い込みこそが原因であるという研究結果が出されました。それが「ステレオタイプ脅威」と呼ばれるものです。

「ステレオタイプ脅威」とは、否定的なステレオタイプ(偏見)で見られると、本来の実力が発揮できなくなるという状況を言います。この研究では、「女子は数学が苦手である」という情報を事前に聞かされた女性グループと、一切聞かされない女性グループでテストを受けさせたところ、情報を事前に聞かされた女性グループに有意な成績下降が見られました。そして、さらに驚くべき発見があったのは、《数学に関心があり、実力も向上心もあるような女性》のほうがより成績が下降したのです。一体なぜそのようなことが起こるのでしょうか?

これには脳のワーキングメモリーが関係しています。(ワーキングメモリーについての記事は以前載せています。是非ご覧ください。)

何か問題を解いたり作業したりする時はワーキングメモリーを使いますが、「女子は数学が苦手である」ということを意識させられると、それについて考えることやそこから生まれる不安などにワーキングメモリーが使われてしまいます。結果、問題を解くために使うワーキングメモリーが不足してしまうという事態が起こるのです。

《数学に関心があり、実力も向上心もあるような女性》のほうが、数学に対しての想い・執着があるだけそのことを意識させられるという悪循環が起こってしまうのです。皮肉なものですね。

「ステレオタイプ脅威」は、偏見やレッテル貼りがいかに危険かということを表しています。親として気をつけてほしいのは「子どもの限界を親が決めない」ということです。

親の思い込みや決めつけによって子どもの能力に制限をかけてしまわないように。

今回伝えたいことはこれです。「子どもだから○○だ」とか「男の子だから○○すべき」のような言い方には少し注意を払う必要がありそうですね。

子どもの可能性は無限大です。ぜひ私たちNOCCその可能性を拡げるお手伝いをさせていただけたらと願っています。