世界に通用する子供の育て方とは?

みなさんこんにちは。

今回は「世界に通用する子どもの育て方」について書かれている書籍をご紹介します。

本の題名にある世界に通用する子供とはどんな子供のことでしょうか?
英語力やコミュニケーション能力の高い子供?
世界のトップレベルの大学に入学できる学力の高い子供?

本書は、全授業を英語で行う国際教養大学の創設に関わった著者が考える、日本の家庭教育や学校教育について、またその在り方を解説しています。
内容的に理想の子育てから人材育成まで幅広く書かれていますので、多くの方の参考になると思います。
ここでじっくり紐解いていきましょう。

以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。

世界に通用する子供の育て方

1.世界レベルの子供を育てる「親の考え方」

  • しつけについて
    まずは、家庭できちんと子供をしつけ、物事を学ぶ姿勢や、人と接するためのマナーなどを身につけさせることが大切です。ところが昨今、親自身のマナーや道義が、あまりにもいい加減になってきているのが問題です。
    例えば、靴を脱いだらきちんと揃える、朝起きたら挨拶する、などのマナーを家族が怠っていると、子供にマナーが伝わらなくなります。                 

    また、自由奔放な教育では、才能は育たないと著者は断言します。ピカソやマチスのような画家の描く絵は、一見自由な絵のように見えますが、彼らはデッサンの鍛錬を積んだ上で、それを乗り越えて抽象画に至ったのです。だからこそ、彼らの描く一本の線は、偉大な意味を持ちます。
    このように、基本の学びが身についていなければ、芸術的な次の発展は望めないのです。「自由でクリエイティブな創造性」とは、一度できあがった「型」から解放された時に生まれるものだからなのです。          

    つまるところ、子供には「型」というマナーやルールのしつけが必要であり、基本的には子供が褒めてほしい時に褒めて、導いてあげることが大切なのです。子供を叱って無理に型に押し込めることでも、自由放任にやりたいようにやらせることでもありません。

  • 才能を開花させる「スズキ・メソード」とは
    「スズキ・メソード」は、幼児からの音楽教育を通して、子供の情操(感性)教育を育てることで有名な教育法です。著者は、その創始者・鈴木慎一博士にヴァイオリン演奏を通して直接指導を受けたそうです。                

    「スズキ・メソード」のモットーは、「どの子も育つ、育て方ひとつ」というもので、音楽を通して子供たちの感性や人間性を育もうとしています。つまり、才能は生まれつきでなく、育て方次第という考え方なのです。         

    例えば、義務教育前の脳の柔らかい幼児のうちに、クラシック音楽を耳から聴いて覚えさせ、繰り返し練習させるという方法や、楽譜を用いずにまず音楽を十分に暗譜させる方法が挙げられます。こうして耳から聴いて記憶する能力を、幼児期の音楽教育で鍛えることによって、他の様々な分野でも才能が開花するようになるのだそうです。

  • 英語教育について
    著者は、スズキ・メソードのように、英語においても耳から聴いて覚えることを推奨してます。文法やスペルから入るのではなく、まずは英語を体に染み込ませることが大切なのです。そして、ボキャブラリーを増やしていくのが正しい英語のマスター方法なのだそうです。          

    また、義務教育の英語では遅すぎると断言しています。最近の脳科学の発展や発達心理学の見地からも、才能教育の適齢期は満4〜9歳あたりで、幼稚園や保育園の時期から英語に触れさせるべきと著者は考えています。
    「英語をやらせると日本語がダメになる」
    「英語よりもまずは国語教育だ」
    「早くから英語を教えると日本人としてのアイデンティティが揺らぐ」
    というのは短絡的で、英語の語彙を増やすことで日本語の語彙も増えていく相乗効果があると訴えています。

    これらのことから、著者は幼児教育においてこそ「情操(感性)教育」英語を含む「異文化教育」を取り入れることを提唱しています。そして、親自身の意識から変えていかなければなりません。学校教育だけに頼らず家庭内でできるだけ早くから英語や芸術に触れさせ、人間性や感性を磨いていこうと意識していくことが大切なのだと説いています。

2.子供をやる気にさせる「環境の作り方」

  • 子供の自立心を育てる
    子供を世界に通用する人間に育てたいのであれば、早い段階から「自立心」を育んであげる必要があります。また、世界に目を開いた「異文化教育」がこれからの時代には欠かせません。                

    親元を離れホームステイや留学を経験したり、逆に日本にいながら留学生受け入れをしたりするべきで、これらを乗り越えることで忍耐力や協調性が身に付き、自立心が育まれると説いています。

  • 子供のうちから、自然環境に慣れ親しませる
    風光明媚な景観や伝統文化の残る環境で学ぶことは、若者の心の育成にも大きな意味を持ちます。
    休みの日には山に登ったり、アウトドアの生活を体験するなど、自然に慣れ親しむことが大切です。鳥の泣き声や虫の音に耳を澄ますことは良い情操教育になるでしょう。                       

    以上のことから私は、親ができる環境設定として、子供の異文化交流や自然体験をサポートすることが大切なのだと思いました。一人で留学させたり、国内外を旅行したりするのは、経済的に余裕がないとできませんが、子供がやりたいと思う時に親ができる限りのサポートをする努力は伝わると思いますし、どうやったら実現できるか一緒に考えることが良い経験になると思いました。

3.子供の才能を育てる「習慣の作り方」

  • リベラル・アーツ(教養)教育の素養が大事
    広く深く教養を育み、自己発見のための学問的素養を身につけていくことが大事です。
    人間の品格を作り上げる「教養」とは、社会科学や人文科学、数学や自然科学などの幅広い基礎知識を身に付けることです。特に芸術に触れることで、人間性や感性が高まりますからこれらを大事にする必要があります。                 

    「Culture=文化・教養」の語源は土地を耕すことを意味するラテン語の「Colere」からきています。本当の知力は、狭い専門知識だけでなく、より幅広い教養をしっかり耕すことで豊かな文化を発展させることができるのではないでしょうか。

  • 知的好奇心を持たせる方法とは?
    まずは親が本やセミナーから教養を磨かなければなりません。
    親自身の教養を磨くことが、自然と子供に良い影響を与えることになるのです。             

    親や教育者であるあなたは、「なぜその本を読まなければならないのか」「その本の何が面白いのか」を語り、好奇心を持たせる動機付けをしてあげると良いでしょう。

  • 学問のスタートは「暗記と反復」
    スズキ・メソードの方法論は「暗記と反復(暗譜)」ですが、まず暗記してそれを反復することによる積み重ねで進歩し、毎日それを続けることでその進歩が蓄積されていきます。暗記も毎日の積み重ねが大事なのです。
    例えば、論語を暗唱したり、小林一茶の百句暗記させたりするもの良いでしょう。                   

    語学教育も難しい教科書を一回読むよりも、やさしいテキストを何回も読むことでセンテンス(文)やボキャブラリー(語彙)を自分のものにできます。
    特に幼児教育では、親と子が一緒になって気長に続けていくことが大切です。

    著者は、教養を深めるために読書を生活習慣にしていくことが何よりも大切だと説いています。
    私はそのことから、幅広い知識や深い教養を持ち合わせることで、自己肯定感が高まり、自信がつくことで、それを土台にして世界に通用する英語力やコミニュケーション力が育まれるのではないかと考えました。

まとめ

以上が、「世界に通用する子供の育て方」をまとめてみたものです。

こちらのまとめでは、国際教養大学の創設に関わった話や大学教育に関する話はカットしています。というのも、題名にあるとおり、世界に通用する「子供」の育て方であり、「大学生」の育て方に重心をおくべきではないと感じたからです。著者は大学創設に関わっていたり、数々の大学学長を歴任してきたため、大学教育論も書かれています。ですが、今回はあえて「大学に進学する」という学歴を外し、どんな「子ども」にも通用する内容でまとめさせていただきました。その点、了承願えたらと思います。

総じて著者が伝えたいのは、世界に目を向けることで相対的に日本の伝統文化・教養を守り、国際的競争力に打ち勝つ日本人を育てることが教育の真髄なのである、ということだと思います。

そのためには、幼児期の家庭学習や環境設定が特に大事だということです。
私は、幼児期の人格形成や語学力の土台がしっかりできていれば、あとは子供自身が吸収して伸びていくため、幼児期の情操(感性)教育に力を注ぐべき、ということが本書の言いたいことなのではないかと思いました。

この本を読んで、「世界に通用する子供」とは、英語などの共通言語を手段としてグローバルに活躍する子供のことだと感じました。

今回ご紹介した教育法は科学的根拠に基づいたものではありませんが、一つの考え方として子育ての参考になればと思います。

忙しい育児の中で読む時間が取れなかったり、じっくり本の世界に浸れなかったりしますよね?そんな時にこのまとめがお役に立ったら嬉しいです。

今後、NOCCでは他の書籍もご紹介していくので、引き続きご参考いただければと思います。
まとめや要約を知りたい書籍がございましたら、ぜひお気軽にコメントください。

書籍情報

書籍名 世界に通用する子供の育て方
著者 中嶋 嶺雄  日本の政治学者、国際社会学者。社会学博士。専門は現代中国政治。

1936年、長野県松本市生まれ。 文学士(東京外国語大学<中国科>、1960年)、国際学修士(東京大学、1965年)、社会学博士(東京大学、1980年)。 1977年、東京外国語大学教授。1995~2001年、東京外国語大学長。1998~2001年、国立大学協会副会長。1998~2006年、アジア太平洋大学交流機構(UMAP)初代国際事務総長、文部科学省中央教育審議会委員(大学院部会長・外国語専門部会主査)、2000~2006年、財団法人大学セミナー・ハウス理事長、2006年~2008年、内閣教育再生会議有識者委員。オーストラリア国立大学、パリ政治学院、カリフォルニア大学サンディエゴ校大学院の客員教授を歴任。平成15年度「正論大賞」受賞。 現在、社団法人才能教育研究会会長、松本深志高校同窓会長(深志7回卒)などを兼務。

著書は、『現代中国論』(青木書店、1964年)、『中ソ対立と現代』(中央公論社、1978年)、『北京烈烈』(筑摩書房、1981年<サントリー学芸賞受賞>、講談社学術文庫、2002年)、『国際関係論』(中公新書、1992年)、『香港-移りゆく都市国家』(時事通信社、1985年)、『21世紀の大学』(論創社、2004年)、『音楽は生きる力』(西村書店、2009年)、『「全球(グローバル)」教育論』(西村書店、2010年)など多数。

<国際教養大学ホームページ>
http://www.aiu.ac.jp/

発行所 フォレスト出版
発行日 2011/01/15

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です。
いただいたコメントの内容はすぐには公開されませんのでお気軽にどうぞ。非公開をご希望の方はその旨お伝えください。