家庭での対人関係と学校での対人関係、学校適応感にどう影響する?

今回は、「学校での対人関係と家庭での対人関係(親との関係)がどのように影響しているか」について調査・検討した論文をご紹介します!

みなさんは学生時代、クラスメイトや先生と良い関係を築くことができていましたか?また、家族とのコミュニケーションはしっかりとれていましたか?
私は、クラスメイトや担任の先生との思い出もありますが、小学校から高校まで部活をやっていたのでチームメイトや顧問の先生の方が関わりが深かったように思います。

家族関係に関しては、良好な関係だと思っていますが、「学校どうだった?」と親に聞かれて「普通」と答えることが多かったです。
このことに関しては、塾で関わってきた子どもたちやお母さんたちも同じことを言っていたので、もしかしたらみなさんの中でも同じ経験がある方がいらっしゃるかもしれません。

学校での対人関係の満足度と家族関係の満足度は学校適応感にどのように関係しているのか!?

それでは見ていきましょう!!

*専門的な内容になりますので、とりあえず結果が知りたい!という方はまとめまで読み飛ばしていただいても大丈夫です!

親への愛着および教師・友人関係に対する満足感が学校適応感に及ぼす影響

目的

親への愛着および教師・友人との関係への満足感が、学校適応感に及ぼす影響について検討すること

調査内容

[学校適応感] ・居心地の良さの感覚:「周囲となじめている」など
・被信頼・受容感:「周りから頼られていると感じる」など
・劣等感の無さ:「自分だけだめだと感じる」など

[親への愛着]
・愛着不安
(必要とするときに親から助けや受容が得られるかについて不安を持つこと)
・愛着回避(助けを必要とするときでも親に頼ることを回避すること)

[教師との関係への満足感]
「学校内に自分の悩みを相談できる先生がいる」など

[友人との関係への満足感]
「今の自分の友だち関係に満足している」など

結果

[居心地の良さ]
教師との関係、友人関係への満足感から正の影響が見られた。

1年生は、愛着不安と友人関係への満足感の組み合わせの効果が見られた
(愛着不安が低いほど友人関係への満足感から受ける影響は大きかった。)
1年生は、友人関係に満足している場合、愛着不安の高低に関わらず、居心地の良さの感覚が高い。
3年生は、愛着不安と友人関係への満足感の組み合わせの効果が見られた
3年生は、友人関係に満足していない場合、愛着不安が低い方が、高い生徒よりも居心地の良さを感じやすい。
3年生は、愛着回避が高い場合教師との関係に満足している方が、していないよりも居心地の良さを感じやすい

[被信頼・受容感]
いずれの学年も、教師との関係への満足感および友人関係への満足感から有意な正の影響が見られ、交互作用は有意ではなかった。
1年生および3年生では愛着不安から有意な負の影響が見られた。

[劣等感の無さ]
いずれの学年でも、
友人関係への満足感から有意な正の影響が、
また愛着不安から有意な負の影響が見られ、
交互作用は有意ではなかった。

でした!
以上が論文の要旨です。ここからは私が個人的にまとめたものになります。

まとめ

[居心地の良さ]
どの学年も、学校での対人関係に満足していれば居心地の良さを感じやすい!
1年生と3年生は、愛着不安の高低にかかわらず、友人関係に満足していれば居心地の良さを感じやすい!
友人関係に満足していない場合は、1年生は居心地の良さが低く、3年生は愛着不安が低い方が居心地の良さを感じやすい!
そして愛着回避が高い場合は、教師との関係に満足している方が居心地の良さを感じやすい!

[被信頼・受容感]
どの学年も、教師との関係や友人関係に満足していると、被信頼・受容感は高い!
1年生と3年生では愛着不安が高いほど、被信頼・受容感は低い

[劣等感の無さ]
どの学年も、友人関係に満足していると、劣等感を感じにくい
しかし、愛着不安が高いと劣等感を感じやすい

ということでした♪

居心地の良さを感じたり、被信頼・受容感を得るには家庭よりも学校での対人関係が重要なのですね。
友だちや先生との関係に満足できるような環境が必要になりそうです!!

一方で、劣等感を感じないためには学校よりも家庭での対人関係が重要なようです。
家庭では、普段から子どもが「いざとなったら親が助けてくれるんだ」と思えるような環境が必要になりそうです!

子どもたちがのびのびと、楽しく元気いっぱい学校に通えるように、・家庭双方向からのしっかりとしたサポート体制があってほしいな、と改めて感じました。

なお、この記事は2018年11月9日に公開されたものです。3月から学校が全国的にもお休みになり、子どもたちは家にいることが多いと思います。お仕事をされているお父さん、お母さんの中にも家で働いている方はいらっしゃるのではないでしょうか。みなさんのご家族とのコミュニケーションが増える中で、少しでも快適に過ごされることを願っています(^^)

NOCCでは、今後も子育てに役立つような論文をご紹介していきますので、
ぜひ時間があったらホームページを覗きに来てください♪

(参考文献:親への愛着および教師・友人関係に対する満足感が学校適応感に及ぼす影響

ABOUTこの記事をかいた人

Yoshino

個別指導塾と集団指導塾で、主に中学受験・高校受験の英語と国語を担当してきました。 世の中の子育てに励む全ての親御さんたちが笑顔になるような記事を書いていきたいです!!