HSC(ひといちばい敏感な子)とは?

みなさんは、HSCという言葉を知っていますか?
私は最近知りましたが、ひといちばい敏感な子=Highly Sensitive Child)というそうで、この世に5人に1人という割合で存在する子どもの性質なのだそうです。

生まれつき周りの刺激に敏感で、周りの子よりも傷つきやすかったり、不安になりやすかったり、感受性が高かったり、思いやりがあったり、そういった特性を持っているそうです。

このHSCは、アメリカの心理学者エイレン・アーロン氏が提唱した言葉です。アーロン氏によると、HSCの子どもはとても豊かな感性を持ち、人の気持ちを思いやる一方、ささいな刺激に大きな影響を受け、集団の中ですぐ疲れてしまうのだそうです。

今回はこのHSCを日本で広めた先駆者である心療内科医、明橋大二さんの書籍をご紹介したいと思います!

発行者である一万年堂出版によると、9月17日現在で樂天ブックスランキングの社会教育部門で1位を獲得したそうです!

優しくて傷つきやすいHSC。どのように子育てをすれば良いのでしょうか?

以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。

HSCの子育てハッピーアドバイス

HSCとは?

どんな子どもにも、生まれたときから性格の違いがあり、その性格の一つに「ひといちばい敏感」というものがある。
嫌な思いをしたときには他の子よりも臆病になったり、怖がったり落ち込んだりするでもまたちょっとしたきっかけで素晴らしい創造性や協調性、優しさを発揮することができる。

生まれたときからの特徴としてはよく泣く、眠らない、すぐに目を覚ます、注意力があること。泣いているときに抱き上げたり、食事をさせたり、一緒に遊んだりすると、よけいに泣いてしまうことがある。

何に対して敏感かは人それぞれで大人になっても敏感な性質は変わらない

ひといちばい傷ついているから、ひといちばい助けを求めているのにそれをうまく表現できず、逆ギレしたり、意地を張ったりするという形で出すので、よけいに怒られてしまう。そしてますます子どもは興奮する。

HSCのチェックリスト(アーロン氏作成)

1.すぐにびっくりする
2.服の布地がチクチクしたり、靴下の縫い目や服のラベルが肌に当たったりするのをいやがる
3.驚かされるのが苦手である
4.しつけは、強い罰よりも、優しい注意のほうが効果がある
5.親の心を読む
6.年齢の割りに難しい言葉を使う
7.いつもと違うにおいに気づく
8.ユーモアのセンスがある
9.直感力に優れている
10.興奮したあとはなかなか寝つけない
11.大きな変化にうまく適応できない
12.たくさんのことを質問する
13.服がぬれたり、砂がついたりすると、着替えたがる
14.完璧主義である
15.誰かがつらい思いをしていることに気づく
16.静かに遊ぶのを好む
17.考えさせられる深い質問をする
18.痛みに敏感である
19.うるさい場所を嫌がる
20.細かいこと(物の移動、人の外見の変化など)に気づく
21.石橋をたたいて渡る
22.人前で発表するときには、知っている人だけのほうがうまくいく
23.物事を深く考える

13個以上に「はい」なら、お子さんはおそらくHSC。

またひといちばい敏感な人には次の4つの面が必ず存在する。
深く考える
過剰に刺激を受けやすい

共感力が高く、感情の反応が強い
ささいな刺激を察知する

子育てアドバイス

まず、HSCは持って生まれた性質であって、育て方でなるものではない。

かんしゃくを起こして、「ちょっとは言うことを聞きなさい!」と叱られるとさらにヒートアップする。こういうときは「実はこの子は傷ついているのかもしれない」と考えてみることが必要。

後で自分が困るとわかっていても感情的な行動をとってしまうので自分をコントロールしてくれる親の存在が必要。

そのためには、まず親が少し落ち着くことが大切。親が興奮していると、子どももますます興奮する。親が少し離れて一呼吸おく。疲れたときは他の大人にしばらくかわってもらう。

「どうしたの」とか「嫌だったんだね」気持ちを聞いてあげ、「そういうときは、こうすればいいんだよ」自分をコントロールする方法を教えてあげる

HSCを育てる親が周りからよく言われるのは「過保護だ」、「子どもの言いなりになりすぎ」という言葉。

しかし、親の育て方は子どもの行動の「原因」ではなく「結果」だと考えると良い。過保護だから保育園になじめないのではなく、子どもの特性として不安が強い、だから親がしばらく子どもの相手をせざるをえなくなる。

ちょっとしたにおいや味に敏感で、今まで無理にでも食べさせようとしたけれどよけい泣き出したり、食事の時間がお互いつらくなった。だから、結果として子どもの好みの味に合わせるようにした。

HSCは、すぐに不安定になったり言うことを聞けなくなったりする。それを避けるために子どもの要求を受け入れるのは「甘やかし」ではなく必要なこと

少し忍耐が必要だが、むしろ安心できる環境だからこそ自分の素の気持ちを出せるということでもある。子育てが基本的にうまくいっている証拠でもある。少し時間はかかるが優しさや豊かな感受性が発揮され、素晴らしいお子さんに育つはず。

幸せな人生の土台は「自己肯定感」。自己肯定感は、自分のいいところも悪いところも受け入れられて育つ。怒ったり泣いたり騒いだり、そういう部分もひっくるめて受け入れてもらう必要があるお母さんにこっぴどく叱られても、そのあとはいつもと変らない笑顔で接することで、自分の悪いところも受け入れられていると感じることができる。

HSCの自己肯定感を育むのに大切な10のこと

1.子どもを信じる
2.抱きしめる
3.共感する
4.気持ちを言葉にして返す
5.ネガティブな感情を吐き出させる
6.スモールステップを設定する。
(失敗体験に弱いので、成功体験をたくさん重ねられるように)
7.心の安全基地を作っておく
(行くだけ行って、嫌だったら戻ってこよう、など逃げ道があることを示す)
8.その子のペースを尊重する
9.少し背中を押してみる
(あくまでも控えめに)
10.他人と比べるより、自分のゴールを目指そうと伝える

「この子はこの子でいいんだ」とお母さんが境界線を引く。手がかかる状態は、子育てがうまくいっている証拠他人の意見はそれなりに尊重すべきだが、正しいとは限らない。周囲のアドバイスに惑わされず、まずわが子のことをしっかり見て、必要なこと、必要でないことを親自身が考えることが大切。

まとめ

以上が『HSCの子育てハッピーアドバイス』をまとめてみたものです。

ひといちばい助けを求めているのにそれをうまく表現できない、というのは本人が一番つらいんだろうな、と思いました。子どもは感情に正直だと思いますが、まだ言葉や表現方法が少ないために泣く、という選択をせざるをえないのですね。

でもそこでたくさん悩むのはお母さんなのだと思います。外で騒いだり、泣き叫んだりしてしまうと、周りの目が気になるからビシッと叱りたい。でもそうするとさらにヒートアップする。「育て方が悪いのか」とたくさん悩んでいると思います。

でも、ひといちばい敏感だからこそ感受性が高く、人の気持ちにも敏感になり、優しい特性があるというのはとても素敵なことですよね。

これからもっとHSCという言葉や、その子が持つ特性の理解が世の中に広がればいいなと強く感じました。そして世の中の悩んでいるお母さんが少しでも安心できるようになってほしいです。

この本の中にも出てきましたが、少数派でもひといちばい敏感な子がいないと世の中はなりたちません。もちろん、HSCでない子も必要です。いろんな特性を持っている人がいるからこそ社会が成り立つのだと、この本を読んで改めて感じました。

この本は、他にももっと具体的な場面でのアドバイスやHSCの長所が載せられています。

もしかしたら自分の子どももそうかもしれない、もしくは、周りにそういうお子さんがいるかもしれない、と思った方はぜひ手にとってみてください。

今回はHSCの子を育てる方法をご紹介しましたが、これは科学的根拠に基づいたものではありませんですが、一つの考え方として子育ての参考になればと思います。

今後、NOCCではほかの書籍などもご紹介していくので、いろんな角度からご参考いただければと思います。

書籍情報

書籍名 HSCの子育てハッピーアドバイス
著者 明橋大二
心療内科医。専門は精神病理学。児童思春期精神医療。
昭和34年、大阪府生まれ。京都大学医学部を卒業し、
現在、真生会富山病院心療内科部長。
児童相談所委託医、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長、
富山県虐待防止アドバイザー、
富山県いじめ問題対策連絡会議委員として、子どもの問題に関わる。
著書『なぜ生きる』(共著)、『子育てハッピーアドバイス』シリーズ、
『みんな輝ける子に』『見逃さないで!子どものSOS 思春期に がんばってる子』
『心の声に耳を傾ける 親と子の心のパイプは、うまく流れていますか?』など。
現在、自己肯定感を育む子育てを日本全国に広めるため、
「認定子育てハッピーアドバイザー養成講座」を開講し、
支援者育成に当たっている。
発行日 平成30年(2018)6月18日
発行所 株式会社 1万年堂出版

ABOUTこの記事をかいた人

Yoshino

個別指導塾と集団指導塾で、主に中学受験・高校受験の英語と国語を担当してきました。 世の中の子育てに励む全ての親御さんたちが笑顔になるような記事を書いていきたいです!!

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