子どもは困ったとき、誰を頼りたい?

今回の論文のテーマは母子のズレ
以前子どものインターネット利用についてご紹介したときに
家庭でも利用ルールについて親子で大きな差があります
という結果が出ていました。

今回のズレは、小学生の人間関係についてです。

子どもは日常的な場面において、誰に一緒にいて欲しいと思っているのか!?
母親はその子どものことが分かっているのか!?
ズレが大きいと子どもはどうなるのか!?

それでは詳しく見ていきましょう!

*専門的な内容になりますので、とりあえず結果が知りたい!という方は
オレンジ色の文字の部分は読み飛ばしていただいても大丈夫です!!

調査の目的

①子どもの愛情のネットワークの内容について母子に報告を求めたとき、
 母子の間でどのようにずれるか
②母子間の報告のズレは、低学年より高学年の方が、女児より男児の方が大きいといえるか
③母子間の報告のズレの大きさは、子供の適応の程度の低さと関連するか

心理的機能
調査内容

愛情ネットワークの測定
18の日常的な場面(6種の心理的機能をそれぞれ3場面で表す)を絵で示し、
その状況においてもっともパートナーであって欲しいと望む他者が誰であるかを選択肢から選ぶ

近接を求める、②心の支えを求める、③行動や存在の保証を求める
激励や援助を求める、⑤情報や経験を共にする、⑥他者を養護する

選択肢
お父さん、お母さん、兄弟姉妹、友だち、先生、いとこ、だれでもいい、ひとり、わからない、その他の10種類

回答の類型
母親型、父親型、友だち型、その他の方、多焦点型、一匹狼型
(愛情ネットワークの測定で、全体の場面をとおしてもっとも多く選ばれた対象を型としたもの)

質問内容
「怪我をしたとき誰に一緒にいてほしいか?」
「校庭で遊ぶとき誰といっしょに遊びたいか?」
「困っていたら助けてあげたい人は誰か」など。

母親は子どもと同じものを、子どものつもりで回答。

適応の測定
日常生活における心身の健康と適応状態を測定
(身体的健康、精神的健康、自尊感情、家族、友だち、学校生活)

結果

類型について母子の報告のズレは大きい
さらに母-息子間でより大きい
子どもの性別、学年関係なく母親の得点が高い
母子ともに、心理的機能②と③が最も選ばれている
子ども全体の報告で最も多いのは友だち型
子どもの報告で、母親型は女児28%、男児19.4%
母親の報告で、母親型は娘61.1%、息子55.6%
母親型であるかに限らず、母子間の報告が一致しているほど、
子どもの性別、学年の別なく心身の健康度と適応状態が良い

 

でした!

つまり、

・男の子とお母さんの間にズレがあった!
・高学年になると、ズレが大きくなる傾向がある!
・子どもよりも母親の方が、どの学年においても母親を選ぶ割合が高い!
・子ども全体でもっとも多かったのは友だち型*!
・女の子がもっとも多く母親を選んだのは28%だが
母親が母親を選んだのは61.1%!
・男の子がもっとも多く母親を選んだのは13.9%だが
母親が母親を選んだのは55.6%!

*型は全体の場面を通してもっとも多く選ばれた対象

ということでした♪

ズレ、結構大きいですねー。
そして全ての学年において母親の得点が高く、
子どもに多いのは友だち型、ということは

お母さんたちは「子どもなら私を選ぶだろう」と思っているけど
お母さんたちが思っている以上に子ども達は友だちを選んでいる、ということですよね。

ちなみに子どもの報告では、女の子では33.1%が友だち型
続いて母親型(28%)多焦点型(22.9%)
母親の報告では、61.1%が母親型
続いて友だち型(22.3%)、多焦点型(8.3%)

男の子では36.7%が友だち型
続いて母親型(19.4%)その他の型*(13.3%)
母親の報告では、55.6%が母親型
続いて友だち型(21.7%)多焦点型(15%)
*その他の型はきょうだい型、先生型、いとこ型の合計

となるようです。

さらに、ズレが大きかったのは心の支えを求める場面と
行動や存在の保証を求める場面の二つなのですが、
母子ともに他の機能と比べてこれらの機能で多く母親を選んでいたことから
子どもがどういう場面で母親を選ぼうとする傾向にあるかを
お母さんはわかってはいるものの、
お母さんが思っている以上に子どもはお母さんを選んでいないということですね。
このことは学年、性別関係なく当てはまるようです。

お母さんたちの気持ちを考えるとちょっと切ないような気持ちもありますが
お母さんが思う子どもへの思いの大きさ
子どもの親離れしようとする気持ち
少しだけ見えたような気がします。

また、今回の論文には載せられていませんでしたが
どの学年で母親より友だちを頼るようになるかというのは

個人的に気になったので
今後調べて、みなさんにご紹介できる機会があればと思いました♪

NOCCでは、今後も子育てに役立つような論文をご紹介していきますので、
ぜひ時間があったらホームページを覗きに来てください♪

(参考文献:小学生の人間関係についての母子の報告のズレ

ABOUTこの記事をかいた人

Yoshino

個別指導塾と集団指導塾で、主に中学受験・高校受験の英語と国語を担当してきました。 世の中の子育てに励む全ての親御さんたちが笑顔になるような記事を書いていきたいです!!