子どもの将来の仕事が、AIに奪われる?

みなさんは、読解力に自信がありますか?
 
例えばこちら
Alexは男性にも女性にも使われる名前で、
女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。
Alexandraの愛称は(  )である。
①Alex
②Alexander
③男性
④女性

正解はどれでしょう?

今回は最近話題になっている、子どもたちの読解力とAIの性能についての書籍です。

上の問題は、今回ご紹介する書籍の著者である新井紀子さんの研究チームが
独自で開発したRST(リーディングスキルテスト)の一例です。
みなさんのお子さんの中にも、
このテストを受けたことがある方がいらっしゃるかもしれません。

では、問題の答えや、現代の子どもたち(中高生)の正答率も含めてご紹介します!

以下は、この本を読んで個人的に要約したものです。

 

書籍名:AI vs. 教科書が読めない子供たち
著者:新井紀子

2011年に「ロボットは東大に入れるか」と名付けた人工知能プロジェクトを始めた。
「東ロボくん」の愛称でメディアに取り上げられ、研究・開発を続けてきたが
現状のAIの能力には超えられない壁がある。
東ロボくんが東大に受からなかったのは、言葉や常識を理解できなかったから。

最終的に150億文学習させたが、4択問題すら画期的に向上しなかった。
AIは計算機にすぎないため、統計と確率は得意だが意味を理解することが難しい。

文章を理解するためには

照応解決:指示代名詞が何をさすかの理解
係り受け:主語と述語の関係や修飾語と被修飾語の関係理解
同義文判定:2つの違う文を見て意味が同じかどうか
推論:様々な知識を動員して文章の意味を理解する
イメージ同定:文章と図形やグラフを比べて内容が一致しているか
具体例同定:定義を読んでそれと合致する具体例を認識する

の6つが必要。
同義文判定、推論、イメージ同定、具体例同定はAIでは成果があがらない

オックスフォード大学の研究チームの20年後にも残る仕事の予測は、
コミュニケーション能力、理解力、柔軟な判断が求められる肉体労働が多い。
問題となるのは、コミュニケーション能力や理解力。

そこで、基礎的読解力を調査するためにRSTを自力で開発し
中学高校大人の2万人を調査した。
2019年から始まる予定の「高校生のための学びの基礎診断」の
試行調査の一環として
5000人の調査を行った。

Alexは男性にも女性にも使われる名前で、
女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。
Alexandraの愛称は(  )である。
①Alex
②Alexander
③男性
④女性

答えは①。

中高生の解答割合

  全国
中学生
(235名)
中1
(68名)
中2
(62名)
中3
(105名)
全国
高校生
(432名)
高1
(205名)
高2
(150名)
高3
(77名)
38%  23% 31%  51% 65% 65% 68% 57%
11%  12% 16% 8% 4% 3% 3% 8%
12%  16% 16% 7% 5% 3% 6% 6%
39%  49% 37% 33% 26% 28% 23% 29%


分野別正答率

小6 中1 中2 中3 高1 高2
係り受け 65.1 65.7 67.8 73.7 80.7 81.5
照応 58.2 62.3 65.2 74.6 82.6 82.2
同義文 62.1 61.6 63.9 70.6 80.9 81.0
推論 58.6 57.3 58.9 64.6 67.5 68.5
イメージ
同定
30.9 31.0 32.3 38.8 55.3 53.9
具体例同定
(辞書)
32.5 31.0 31.7 42.2 46.9 43.9
具体例同定
(数学)
19.6 24.7 27.4 34.2 45.7 42.4

係り受けと照応はそこそこできているが
そこはAIでもできるところ。
AI並みということは、AIに代替されるということ。
重要なのはAIにはまだ難しい他の4つの分野であるが、
同義文を除いて正答率が低い

RSTを受検した高校の平均能力値と
「家庭教師のトライ」と「偏差値net」が公表しているその高校の偏差値の相関は
ほとんどの分野で0.75から0.8の相関がある。
つまり「基礎読解力が高いと偏差値の高い高校に入れる」と解釈できる。

旧帝大進学率にも高い相関が見られた。
その事実から、超有名私立中高一貫の教育方針は、
教育改革をする上で何の参考にもならないという結論に達した。

なぜなら、12歳の段階で読解能力値がある生徒を入試でふるいにかけているから。

読解力と、読書習慣、学習習慣、得意科目、スマフォの使用時間、新聞の購買、
ニュースをどんな媒体から知るか、通塾などとの相関関係は見つからなかった。

修学補助率と読解力には強い負の相関があった。

AIの弱点は、万個教えられてようやく1を学ぶこと、
応用が利かないこと、柔軟性がないこと、
決められたフレームの中でしか計算処理ができないこと、意味がわからないこと。
だからAIには肩代わりできない種類の仕事ができるようになるためには、
応用力柔軟性、フレームに囚われない発想力を備えること
そして、読解力を基盤とする、コミュニケーション能力や理解力が必要である。

 

以上が『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』をまとめてみたものです。

まず、冒頭で出した問題!みなさん正解していたでしょうか?
中学生の38%というのには驚きでした!!
高校生でも65%!約3人に1人は読めていないということですよね。

AIについては、150億文という数に驚き!!
私自身がどのくらい語彙力があるかは分かりませんが
例えば単語の数で考えると
今年1月に第7版が刊行された広辞苑には
25万項目が収録されているようです。(岩波書店HPより)
そう考えると、やはり150億はすごいですよね!

それでも基礎的読解力に必要な6項目のうち
4項目がAIでは成果が上がらないとなると
その項目である同義文同定、推論、イメージ同定、具体例同定
がしっかり理解できれば、AIに勝てる??

しかしこのままいけばまずいようですね。
子どもたちとAIの苦手分野が同じということは
将来AIに仕事を奪われるかもしれない、と言えるかもしれません。

どうしたら基礎的読解力が上がるのか、
については
今回の書籍の中に答えはありませんでした。
個人的にも一つの正解を見つけるのは難しいのではないかと思いました。

しかし、まず現状を正しく理解することが重要なのではないでしょうか。
お子さんは、教科書をしっかり読めているでしょうか?

例えば算数のテストで間違っていた原因は
計算ミスなのか、そもそも問題の意味が理解できていなかったのか。
正解していたとしても
本当に理解して答えを導きだしたのか
機械的に公式に当てはめて解いただけなのか。
そこをしっかりと分析していくべきだと思います。

上でまとめた以外にも、RSTの他の例題や、分野別の詳しい紹介と研究結果など
興味深い内容がたくさん載せられているので
ぜひ一度手にとってみてください!

今の子どもたちが大人になったらどういう社会で生きていかないといけないのか
そしてその将来のために、今子どもたちに何が必要なのか
を考えるきっかけになるのではないでしょうか。

今後、NOCCでは、ほかの教育に関する書籍などもご紹介していくので、
いろんな角度からご参考いただければと思います。

それぞれのママたちにあった、
お悩み解決策やそのヒントが少しでも見つかりますように♥

↓書籍情報

書籍名 AI vs. 教科書が読めない子どもたち
著者 新井 紀子
国立情報学研究所教授、同社会共有知研究センター長。
一般社団法人「教育のための科学研究所」
代表理事・所長。
東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業、
イリノイ大学5年一貫制大学院数学研究科単位取得退学(ABD)。
東京工業大学より博士(理学)を取得。専門は数学理論額。
2011年より人工知能プロジェクト
「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める。
2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導。
主著に『ハッピーになれる算数』『生き抜くための数学入門』(イースト・プレス)、
『数学は言葉』(東京図書)、
『コンピュータが仕事を奪う』(日本経済新聞出版社)などがある。
発行所 東洋経済新報社
発行日 2018年2月15日 第1刷発行
2018年4月27日 第8刷発行